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カトラリーの歴史とイギリス、フランスのマナー
テーブルマナーで重要視されるのが、カトラリー(ナイフ・フォーク)の使い方ですが、実はマナーの優先順位の中で、カトラリーの使い方はトップではありません。例えばナイフ、フォークを間違って使っても、サービスの方が静かに取り換えてくれますから、あまり気にして緊張する必要はないでしょう。
同席の方や、接客の方、シェフに対する敬意など、日本の「おもてなし」に通じるハートの部分が最も重要なのですね。それと同時に「ドレスコード」をわきまえたオシャレとか、男性は室内では帽子をとる。お子様は同席させないなど、社会人としてのマナーが出来ていないと、同席者や一流ホテルではバカにされたりしますから、こちらの方が重要ですね。
ナイフ・フォークの使い方がマナーとして確立したのは、近代になってからです。中世においては食卓にはナイフだけしかなく、大きな肉の塊は、ナイフで切り取り、指で食べていました。貴族階級では個人のナイフを持参するのが一目おかれる存在という説もあります。
人間が作った最古の食器がナイフと言われていますが、石を削って刃とした時代からですから、それも納得できますね。フォークが初めて使用されたのはイタリアと言われ、メディチ家から「カトリーヌ・ド・メデョチ」がフランスに嫁いで来たときに、イタリアの食文化の一つとして伝えられました。
また、イギリスはナイフ・フォークを表に、フランスでは裏返しにセットする事が多く、お互いの国で主張が違うのも興味深い事例です(お互いに譲りません)。フランスやイタリアでは、ナイフ・フォークがずらりと並ぶセットは、一流店でもあまり見かけず、イギリス他のヨーロッパ諸国ではフルラインナップで並ぶ傾向にあります。ラテン系の国では、食事は楽しむもの、イギリス(ドイツ)などでは、フランス料理は晴れの料理で、真面目に頂くものという意識があるようにも見えます。食文化からとらえると、食卓楽しみが広がるでしょう。
今回は、世界で最も有名な銀器メーカーの一つ、「クリストフル」の紹介です。1830年、宝石商のシャルル・クリストフルが創立した老舗メーカーで、同社の製品は銀食器の最高級ブランドとして、現在でもエリゼ宮やパリにある五つ星のホテル「ホテル・リッツ・パリ」をはじめとする世界の最高級ホテルや豪華客船などで使用され、「卓上の芸術品」と呼ばれます。因みに私どものレストランも「クリストフル」を使用していますが、その美しさ、耐久性は群を抜いています。少し値は張りますが、一生使える食卓アイテムとしては価値ある逸品です。もちろんプレゼントにも最適ですね。
※掲載情報は 2015/03/23 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ホテル・レストラン運営コンサルタント
川尻倫明
日本を代表するフレンチレストラン「銀座レカン」を皮切りに、世界№1ソムリエ田崎真也と共にホテル西洋銀座のレストラン部門を立ち上げる。その後各地でホテル副総支配人、ホテル総支配人等を歴任。パリ「マキシム」、カンヌ「ムーラン・ド・ムージャン」、ロスアンジェルス「ベル・エア」等、海外三ツ星レストランでのサービス実績ほか、エドモンドロスチャイルド等のVIP担当経験など、世界トップレベルのサービスとホテル・レストランマネジメントのエキスパート。「広島から世界へ」をコンセプトにグローバルに活躍できるサービスパーソンの育成を目的に各地で指導を行っている。
Orientarl Hotel広島 スーパーバイザー / キュリオシティ㈱シニアコンサルタント / F&Bマネージメント代表