新感覚のテイスト!【第五世代の亜麻猫】

新感覚のテイスト!【第五世代の亜麻猫】

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今月からこのサイト上で、色々な日本酒の紹介をさせていただくこととなりました佐藤と申します,どうぞ宜しくお願いします。 出来るだけ多くの方々に日本酒に興味を持っていただき、日本酒全体の需要の裾野を広げてゆく為にも、ここでは様々なタイプの「個性的な日本酒」を紹介してゆきたいと思っております。 さて初回となる今回は、こんなお酒を選んでみました,その名も、 【亜麻猫(あまねこ) 特別純米酒 火入れ】です。 このお酒のデータは…

●蔵元 新政酒造(秋田県・秋田市・大町)

●特定名称ほか 特別純米酒 火入れ

●麹米 あきた酒こまち(精米歩合40%)  掛米 あきた酒こまち(精米歩合65%)

●酸度 2.4 

●アミノ酸度 ?

●酵母 協会6号酵母

●日本酒度 -2 

●アルコール度 14.8%

●酒造年度 H25BY

この「亜麻猫」は、秋田の新政酒造が日本酒の新たな方向性を探る為に5年前に登場させた銘柄なのですが、その後毎年実験的にスペックの変更を繰り返し、今酒造年度に出荷されたものが5代目の「亜麻猫」となります。 「亜麻猫」と他の日本酒の最大の違いは、酒造りにおいて重要となる「酒母造り」の工程において、通常の日本酒は「黄麹」を使っているのに対して、このお酒はそれに加えて「白麹」を使っているという点です。 少し専門的な話になりますが、「白麹」は一般的には「焼酎造り」において使われていて、柑橘類や梅干しに多く含まれる「クエン酸」という抗菌力の強い酸を生み出すのが特徴です。 香りのトーンは中程度で、「ネーブル」を想わせる柑橘系の果実の香りや、「スペアミント」のような香草類の香りがあり、「甘酸っぱくフルーティーで爽やかな香り」が感じられます。 口当りは軽やかで、ややキュッと口をすぼめてしまう程の鮮やかで豊かな酸が明快に主張しますが、それをスッキリとした甘味と滑らかな旨味が上手くフォローしていて、「甘酸っぱくてなおかつ旨い」という,独特の味のバランスの世界を作り上げています。 余韻は短めでコクやボリューム感も控えめなのですが、それでいて味の薄さは全く感じさせておらず、「軽やかかつクリアーな飲み口で、独特の甘酸っぱさがクセになる新感覚の味わい」のお酒でした。 このお酒の最大の個性は、白麹の生み出す「クエン酸」による豊かな酸味なので、今回は「酸味」ということをテーマに料理との相性を見てみることにしました。

小肌の甘酢漬け柚子風味

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これは、「小肌」を柚子入りの米酢と砂糖で「甘酢漬け」にしたものなのですが、酸っぱ過ぎずに程よく〆られていてやや歯応えもあり、柚子の風味が爽やかに口に広がります。 「亜麻猫」と合わせてみると、このお酒の特徴である鮮やかな酸と柑橘系のフレーバー,そして「小肌の甘酢漬け」の程よい酸と柚子の風味とが、それぞれお互いに寄り添ってゆきます。 余韻において、料理の甘酢がお酒から微かに苦味を引き出しますが、それがかえって後口に「ドライ感」をもたらして爽やかさを増長してくれます。 2つの異なるタイプの酸が上手く融合してゆくイメージの、なかなか相性の良い組み合わせでした。

ブリア・サヴァラン

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これはフランスのノルマンディー地方の「フレッシュタイプ」のチーズで、「生クリーム」を加えたミルクで造られている為に、まるで「チーズケーキ」のように柔らかくて口どけが良く、また程好い塩味と共に「爽やかな酸味」が感じられるのが特徴です。 チーズが口の中で溶け切ってしまう前に「亜麻猫」を流し込んでみると、両者の持つ爽やかな酸が口の中で見事に同調し、そしてこのお酒の持つスッキリとした甘味と、「ブリア・サヴァラン」の程よい塩味とのバランスも◎です。 あまりに心地良い「マリアージュ」で、お酒がグイグイとすすんでしまうチョット「デンジャラス」な組合せでした。

亜麻猫(あまねこ) 特別純米酒 火入れ

新政酒造(秋田県・秋田市・大町)

※掲載情報は 2014/10/30 時点のものとなります。

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キュレーター情報

佐藤茂夫

酒匠・シニアソムリエ

佐藤茂夫

飲食業界に携わって今年でかれこれ30年目となりますが、その間にビヤホール,ブラッスリー,居酒屋,焼肉店,トラットリア,アイリッシュパブ,大型バーベキューレストラン,北海道料理店etc.の様々な業態のお店を渡り歩きました。
またその一方で、「ソムリエ」「利き酒師」「焼酎アドバイザー」「酒匠(さかしょう)」etc.のお酒に関わる様々な資格を取得し、2006年に開催された「第2回世界利き酒師コンクール」では、2度目のチャレンジで優勝を果たすことができました。
本業の合間には、これまで得た知識と経験をもとに、SSI (日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)が主催する、日本酒の利き酒師講習会で講師役なども務めております。
素晴らしい日本酒の魅力を、できるだけ多くの人に判り易く伝えてゆきたいと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いします。

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