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立て縄の一本釣りで漁獲する傷のない金目鯛
「銚子つりきんめ」は、立て縄と呼ばれる一本釣り漁法で1尾ずつ釣り上げられた金目鯛で、千葉県を代表する優良水産物として千葉県ブランド水産物生鮮第一号に認定されています。
銚子沖は、寒流と暖流がぶつかる場所です。ここでは豊富なプランクトンが生まれ、それを食べる小魚が集まることで豊かな海となり、一年中脂ののった金目鯛が生息しています。それを手釣りで丁寧に釣り上げ、釣り上げた後も細心の注意を払い、高い鮮度と傷のない美しさが認められたものが「銚子つりきんめ」と呼ばれます。
さらにこの半身は、細胞を整列させて凍らせるという特殊凍結機を使って冷凍させることで解凍後もドリップが少なく、凍結前の獲れたての鮮度と風味が楽しめるという、これまで一般にはなかなかお目にかかれなかった品質なのです。
この半身をどんな風に楽しんだらよいか、取り扱いの水産会社に尋ねてみたところ「とにかく刺身で食べて欲しい」と返事をいただきました。解凍後の半身から、確かにドリップはほとんどなく、早速包丁を入れてみると、跳ね返すような皮の弾力と脂ののった照りに驚きます。
もちろん、寿司ネタにすれば、実に豪華な握りが出来上がります。そのままでも、または、美しい皮目をパリッと焼いて炙りにしていただくのも、想像するだけで喉が鳴ります。
極上の刺身には世界一に輝いたブルワリーのビールを
お刺身に合わせるなら、日本酒か白ワイン、とすぐに浮かびますが、ビールもビアスタイルを選べば、お刺身との相性も抜群です。今回選んだ地元のビールは、千葉・浦安にある「舞浜地ビール工房ハーヴェスト・ムーン」です。このブルワリーは2000年の創業以来、“きれいな味のビールを造る”ことをテーマに、数々の受賞歴を重ねてきた日本トップクラスのブルワリーとして知られています。2022年にはアメリカで開催された『World Beer Cup』でピルスナーが見事世界一の金賞に輝きました。
この金目鯛に、と選んだのは「ベルジャンスタイルウィート」です。小麦を使ったビールは、オレンジピールとコリアンダーを風味づけに使用していて、金目鯛の新鮮な脂の甘さにビールのフルーティな風味がそよ風のように寄り添います。極上の金目鯛に、ゆっくりおろした生わさびを添えましたが、金目鯛にちょこんと乗せたわさびの爽やかさが、さらにこのペアリングの相性をぐっと引き寄せているようにも感じます。
炙りなら、「ブラウンエール」や「シュバルツ」も良いかもしれません。ゆっくり、じっくり、いろいろ試したくなる贅沢なペアリングを楽しんでみてはいかがでしょうか。
※掲載情報は 2023/02/10 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト/パンコーディネーター
宮原佐研子
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。