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バイオテクノロジーの博士が作った科学の味
納豆をアテにビールを飲んでいると痛風になるよ、とよく言われますが、本当かどうかは知りません。しかし、ビールや気軽な日本酒にこの乾燥納豆というのがけっこう合うもので、ついついやってしまうわけです。
とくにこのA-HITBioなる会社が販売している「納豆のススメ・ドライ」は大粒で食べやすく、炒り豆のように大豆の風味がしっかりしていて、好みのアイテムの一つ。ただし塩味が足りないかなと思って原材料を見てみたら、大豆と納豆菌のみで食塩を使っていませんでした。なのに味をしっかり感じるのは、納豆菌が働いてうま味のもとであるアミノ酸がいちばん多くなったところでフリーズドライしているからということらしい。それというのも、このお品、北海道大学名誉教授でバイオサイエンスが専門の冨田房男さんが開発したもの。その道の先生が作ったものだけに、材料の実力がいかんなく発揮されているわけです。
友達が遊びに来たとき、ちょっとビールでもひっかけてから飲みにいくかねなんて言って、こいつを皿に取って突き出して、空き袋をわざとテーブルの上にひらりと置いて相手の顔色を見るのが人の悪い私の楽しみの一つ。「え!? 何これ。『遺伝子組換え大豆使用』って、どういうこと??」というのが、だいたいの友人たちの反応。それで、これは科学的にも世界の人々の食経験からも無害であることが立証されて国のお墨付きもある普通の食べ物であると説明すると、「へー!」と言いながらポリポリ食べ始めて止まらなくなるというのが、これまただいたいの友人たちの反応。
実は日本は、世界有数の遺伝子組換え作物消費国の一つ。ただ、だいたいは食用油や食品の原材料に使われているので、形の残ったものはほとんど見る機会がない。以前、遺伝子組換え作物に関心を持つ農家のところであった会合でお会いしたとき、冨田さんはきちんとした技術が世間に理解されていないことを嘆いていらした。今、健康に資する食品の開発・販売の仕事をしながら、この乾燥納豆を売り出したのも、新しい技術をみんなに知ってほしいという思いからであった由。が、難しい話は抜きにしても、これは本当に大豆の香ばしさがおいしい乾燥納豆です。
※掲載情報は 2015/03/10 時点のものとなります。
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キュレーター情報
FoodWatchJapan 編集長
齋藤訓之
北海道函館市生まれ。1988年中央大学文学部卒業。レストランビジネスを志していたはずが、レストランビジネスに役立つ本を作る仕事にのめり込む。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、日経BPコンサルティングのブランド評価プロジェクト「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、農業技術通信社「農業経営者」副編集長等を経て、フリーランスのライター・編集者として独立。2010年10月株式会社香雪社を設立し、農業・食品・外食にたずさわるプロ向けの情報サイト「Food Watch Japan」をスタート。著書に「入門 日本の七十二侯と旬の食」(洋泉社)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、「創発する営業」(共著、丸善出版)、「創発するマーケティング」(共著、日経BPコンサルティング)など。