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塩なし料理で引き立つ「旨み」
「味」を構成する要素は、甘味、塩味、苦み、酸味、そして旨み。ちなみに旨みとは「甘味・酸味・塩味・苦味の他にある基本の味で例えば昆布が含むグルタミン酸による味」を意味します。これらの要素がバランスよく組み合わされた先にあるのがいわゆる「おいしさ」なのです。
しかし現代では特に塩味が強調される加工品、料理がとても多く、それはしばしば健康被害にもつながる可能性があると言われています。その反面、塩を使わないと「味が締まらない」ということにもつながります。そこで登場するのが日本独自の味である「旨み」なのです。
市販のカレー商品のみならず加工品には多くの塩が使われています。しかし塩を使わなくても素材の組み合わせで十分な旨みが引き出されることを発案者かつ監修者であるフランスはニースにレストランを構える松嶋啓介氏が証明しています。氏の主催する塩を使わない調理教室では塩味に頼らずおいしいと感じさせるために玉葱とトマト、そしてスパイスをふんだんに使うのです。
十分に玉ねぎを炒めて、トマトの持つ酸味を加えて、素材が溶け合って重なり合って生まれたのが今回ご紹介する「休塩日のカレー」です。レトルトパックごと湯煎して温めて盛り付けて、一口含むと「少し物足りないかな」と感じてしまうかもしれません。しかし、ふた口目、三口目にはスパイスと素材が生み出すナチュラルな味わいに気づくはずです。ちょっと固めのごはんやパンと合わせるとスッキリとした食後感に浸れると思います。ちなみに塩を使わない料理を知ると素材の組み合わせや調理方法にだんだんと興味が湧いてくるでしょう。
これまでは減塩はあっても添加する塩を使わない加工品はほとんどなかったと思います。「休塩日のカレー」は単に機能性や健康といった枠を超えて、本来誰もが持っている味覚をしっかり再発見させてくれるきっかけを教えてくれるのです。
*元々の素材に含まれる食塩相当量は0.1パーセントと標記されています。
※掲載情報は 2021/10/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードビジネスデザイナー
嶋啓祐
全国の農村漁村をくまなく巡り、そこで使うホンモノの素材を探すことをライフワークにしています。ホンモノはいつも隠れています。全国の肥沃な土地で、頑固で不器用な生産者が作る「オーガニックな作品」を見つけて、料理人が少し手を加える。それが「ホンモノの料理」になります。毎月地方に足を運び、民泊に泊まり、地元の方々とのコミュニケーションを作るのが楽しみです。自然豊かな日本全体が食の宝庫です。自然、風土、生産者、素材、そして流通と料理人とその先にいる顧客。食に関わるすべての方が幸せになるような「デザイン」を仕事にしています。1963年に北海道は砂川(日本一になった美味しいお米ゆめぴりかの産地)で生まれ、18歳上京。大好物はイクラ、クレソン、納豆、ハーブ、苦手なのは天津丼などあんかけ系、豚足、焼酎。趣味は全国の神社巡りとご朱印集め。2018年より自宅料理コミュニティ「ビストロ嶋旅館」を主宰。