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3年仕込みのまろやかな味とコク
古い町並みを探訪するのが好きな私は、島根県を訪れた時、平田町へ足を延ばしました。
平田町は、宍道湖岸の街。この地は、古くから舟運による松江への拠点であり、江戸時代には、綿栽培と木綿で栄えました。綿は干拓地の土の塩分を吸い取るといわれ、田畑に適する土壌改善のために植えられたことが始まりとのことです。その綿花で木綿産業が発達し、当時は毎月2回の市が立ち、雲州平田木綿の名で質の高い大量の木綿取引が行われ、全国に広がったといいます。
今では「木綿街道」と名付けられ、その歴史を背景にした観光地域ともなっています。
趣ある建築家屋が立ち並び、酒屋、生姜屋、呉服屋、地元の味を提供する店々などを楽しみながら散策できます。
歩いていると「しょうゆから造った醤油」の看板が目に留まり…何⁉何⁉ と、暖簾をくくりました。そこは、明治30年創業の岡茂一郎商店でした。
謎だった「しょうゆから造った醤油」とは、さしみ醤油でした。刺身につけて食べる醤油なのかな、と思ったのですが、ご主人曰く、「再仕込み醤油の略でさしみ醤油です。」とのこと。
つまり「大豆、小麦、塩で一年半かけて造った生醤油をもう一度木桶に入れ、再び大豆、小麦を加えて、さらに一年半仕込む、三年かけて造った醤油」が再仕込み醤油。シンプルな原材料を2倍の時間と手間をかけた贅沢な醤油なのです!
それってどんな味なんだろう…誰もが気になるところですよね。お店に行けば、試食できます!
試食用のスプーンにほんの少しのさしみ醤油でも、しっかり味と香りが分かります。
いよいよ、「木桶熟成・舟しぼり【辛口】さしみ醤油」の容器をあけると、まず木桶のよい香りがたちました。次に、トロ~リと濃さを感じるほどの深い色。口に含むと、豊かな甘味と強い旨みが広がりました。
このまま、炊き立てご飯の卵かけや冷奴にかけたり、焼き餅につけたら、間違いなく美味しいだろうという味わいです。たっぷり使っても塩からさはなく、まろやかな風味が感じられます。
スピード料理のお惣菜=ヒジキと大豆の煮ものと焼きピーマンの酢醤油和えにもピッタリ!
さしみ醤油に漬けた鰆を焼くだけの簡単レシピもおいしい!
昆布と千切り大根の煮物にも…
実際、さしみ醤油の塩分は、薄口、濃口、たまり、白醤油などより少ないとのこと。その上、二度の仕込みで、うま味が倍増しています。
醤油は日本の食卓には欠かせないものですから、用途によっていくらかの種類を使い分けても良いのでは、と思います。
煮物、焼き物などのお料理には醤油の濃い色は付きますが、味はまろやかで甘みもあるので、出汁、酒、さしみ醤油だけで美味しく仕上がります。
刺身にもよく合います。特に脂がのった味の濃いマグロ、サーモン、ハマチといった魚には、さしみ醤油のトロミが絡みやすく、旨みの強さと魚との相性が良いと思いますよ。
サーモンとハマチの刺身にはさしみ醤油のトロミが絡み、甘味のある味わいが脂ののった魚の旨みとよく合う
平田町に行かれたら、その街並みを楽しみながらぜひ、岡茂一郎商店を訪れて下さい。ご主人が丁寧に楽しく醤油についてたくさ~ん教えて下さいます。
商店では、さしみ醤油以外の醤油商品とならんで、醤油を使った「醤油愛す」(アイスクリーム)・「醤油まめ」(カシュナッツスナック)・「醤油あめ」などの商品も販売しています。
ネット販売もしていますので、一度お試しください。
※掲載情報は 2021/04/26 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ライフスタイルデザイナー
長尾典子
日本伝統の知恵と美を取り入れた現代の食と暮らし方”Nippon Stylish Life”を提唱。
西宮市内のサロンと各地で、テーブルコーディネート・料理・英語・食文化をテーマに幅広く活動中。
季節開催「Japan Cool Seminar in Tokyo」では伝統美味食をテーマに、レストラン・料亭を会場に、その日だけのオリジナル料理を味わい学ぶ講座。
旅館・ホテルの食空間提案、英語による和食文化、テーブルコーディネートセミナー、オリジナル食器デザイン販売も手掛ける。
著書『12か月のLifestyle Book 食卓からしあわせは始まる』エピック
『和食の力に魅せられて 伝統美味食の世界』エピック
食卓文化研究家、食空間コーディネート資格認定講師、卓育インストラクター、カラーコーディネーター、英語講師。
食空間コーディネート協会理事
京都文教短期大学、大阪夕陽丘短期大学非常勤講師。
奈良女子大大学院生活環境修士。現在、現在、龍谷大学博士後期課程。
mail:nagao@a-de-v.com