「赤いバラ」と「交響楽」。レバノンワインという幸せ

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レバノンワインを通して感じる、「知る」ことの喜び

「赤いバラ」と「交響楽」。レバノンワインという幸せ

ワインを飲みながらワインについて語るのは楽しいものだけれど、ワインだけの話に終始するのは楽しくないし、なによりも偏愛過ぎるワイントークはワインの邪魔になるし、ワインを飲む時間を不幸せにしてしまう。というのが僕の変わらぬ思い。時には馬鹿話でもいいし、時にはしんみりした話でもいい。そして時には、ワインのその裏側にある世界に思いを馳せると、思わぬ発見がある。その出会いがまたワインを楽しいものにしてくれる。

中近東とワインという関係、どのようなイメージをお持ちですか? フランスやイタリアをオールドワールドと称するワインの世界。ならばこちらは、エインシェントワールド、いにしえのワインの世界。聖書の時代から続くワインの歴史。レバノンワインの産地はベカー高原。世界でも有数のローマ神殿跡である世界遺産バールベックなど古くから、歴史、政治、軍事の重要拠点として世界史、近現代史で知られたこのエリアは、一方で肥沃で幸せなワインの土地。中近東に対する日本人のイメージと違い、高原の緑、夏のさわやかな風、そして冬は1mもの雪が積もる静寂な世界ともなる、ということをシャトー・クーリーのワインメイカーであるジャン・ポールさんに教えていただいた。

「赤いバラ」と「交響楽」。レバノンワインという幸せ

父上はレバノン人、母上はフランス・アルザス出身。「動物のお医者さん」と「うちのワイン」という選択からワインメイカーへの道を選んだ理由のひとつは、生まれ育ったこのベカー高原の恵み。西に地中海を望み、たくさんの雨をさえぎるレバノン山脈、東に砂漠地帯の熱気と乾燥を適度に和らげる東部山脈に挟まれ、温暖な夏と冬の雪の恵みとぶどうにとってすばらしき昼と夜の寒暖の差。その恵みをジャン・ポールさんは「聖テレーズからの贈り物」と「小さき花のテレジア」として慕われるフランス・カトリック教会の聖人に例えて語ります。そのテレジアが抱えるバラをモチーフにした「サント・テレーズ」は、清らか、でもしなやかで強靭な芯を持つ赤ワイン。慎ましやかな飲み口ながら力強い幸せな余韻が続きます。ジャン・ポールさんのこの地の恵みを生かした挑戦と情熱は国際品種の組み合わせで、重厚で、しかし、心地よいのみ口の「サンフォニー」(※詳しいレビューは岩瀬のブログにて)、アルザスに思いを馳せた白ワイン、ピノ・ブランやゲヴュルツトラミネールなどへと続きます。ワインを通じて、レバノンのテーブル、雪のベカー高原へと思いを馳せる。そういう幸せな時間がワインにはあります。

※掲載情報は 2015/03/02 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岩瀬大二

ワインナビゲーター

岩瀬大二

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。

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