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日本酒は、もはや日本だけで飲まれる酒ではなくなりました。
日本人の日本酒離れは進んでいますが、その一方で外国人杜氏や、海外での醸造所も登場しています。世界中にSake fansは広がっているのです。
そこで、合わせる料理は多種多様となり、日本酒にもdiversityが求められています。
近年誕生する日本酒は、造る場所のテロワールと醸し手の個性の表現が加わり、その魅力を増しているように感じます。
先日、フランス人の知人から興味深い日本酒を紹介されました。
なぜフランス人から日本酒を?というと、この日本酒はフランスで育てられた米を使って醸されているからなのです! 是非飲んでみて、と言うのです。
日本酒の酒米なら山田錦をはじめとして各地の魅力的な酒米を醸した旨い酒が誕生、進化している中で、フランスの米で??と聞けば興味津々です。
その酒が15代久野九平次の萬乗醸造で造られたというのですから、飲まずにはいられません。
「醸し九平次」は“味よし姿よし“ 私の好きな銘柄のひとつです。
姿とはボトルとラベルのことです。洒落た外観は、おもてなしで食卓をセッティングした時に、テーブルにさり気なく置いても絵になり、ワイングラスで飲むにピッタリで女性にも好評です。
今回紹介するのは、フランスの米を使って醸した 純米大吟醸「CAMARGUEに生まれて、」です。
こちらもスマートなボトルとオレンジ色のラベルにブルーの文字が印象的な一本です。
今回はクリスマスのおもてなしの食卓で味わうことにしました。
洒落た箱に入った「CAMARGUEに生まれて、」は注目の的! 大切な人との食卓を彩ります。
CAMARGUE(カマルグ)とはフランス・プロバンス地方アルル近郊に位置する地名です。豊かな自然に恵まれたこの地は米どころとして知られています。
この地で育まれたManobi(マノビ)米というフランス固有品種を酒米に、名古屋萬乗醸造の蔵でこの酒は生まれました。久野氏によれば、マノビ米は日本の酒米に最も近いとのことです。
ラベルのオレンジ色はマノビ米の玄米の色、文字のブルーはカマルグの水と空の色なのかな、と想像を膨らませます。
2013年から酒蔵スタッフがこの地に移り住み、米栽培にも携わり、ワインのテロワールに通じる考えで醸された日本酒です。
日本の米作りは、日本人の食と文化の根幹として重要な役目を担っていきましたが、フランスの米作りは、古くは家畜のエサとして栽培されていた歴史もあります。フランスでは今でも米は野菜のひとつなのです。
ヨーロッパでは陸稲が一般的ですが、カマルグでは水稲です。しかし私たちに馴染み深い田植えはせず、水田に種籾を蒔き、そのまま成長を待つのです。
米の位置づけも作り方も日本とは全く違うのですね。
フランスと日本のそれぞれの米作りの歴史が出会い、酒を通して新たな世界を生んだのがこの一本でしょう。
ボトルラベルの裏側にはマノビ米の故郷と醸し人の思いが記されています。
クリスマスの食前酒の後のお楽しみはこの日本酒です!
ボトルを開けグラスに注ぐと、爽やかな香りが立ち上ります。口に含むと柑橘系の酸味が広がり、続いてほのかな甘みが感じられます。日本の酒米のまったりとした甘みとは違った独特の香り…もしかしたらカマルグの空気と水の香り?なのかもしれません。
今回はクリスマスのお料理とマリアージュしてみました。
姿も風味も洋風料理と融合するSAKE。話題性もあり、食卓での会話も弾み、様々な料理とシーンで楽しめる一本です。
ワイングラスで飲むのが一番似合う日本酒です。
生ハムとバジルをはさんだポークカツレツにもピッタリの「CAMARGUEに生まれて、」
※掲載情報は 2019/12/24 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ライフスタイルデザイナー
長尾典子
日本伝統の知恵と美を取り入れた現代の食と暮らし方”Nippon Stylish Life”を提唱。
西宮市内のサロンと各地で、テーブルコーディネート・料理・英語・食文化をテーマに幅広く活動中。
季節開催「Japan Cool Seminar in Tokyo」では伝統美味食をテーマに、レストラン・料亭を会場に、その日だけのオリジナル料理を味わい学ぶ講座。
旅館・ホテルの食空間提案、英語による和食文化、テーブルコーディネートセミナー、オリジナル食器デザイン販売も手掛ける。
著書『12か月のLifestyle Book 食卓からしあわせは始まる』エピック
『和食の力に魅せられて 伝統美味食の世界』エピック
食卓文化研究家、食空間コーディネート資格認定講師、卓育インストラクター、カラーコーディネーター、英語講師。
食空間コーディネート協会理事
京都文教短期大学、大阪夕陽丘短期大学非常勤講師。
奈良女子大大学院生活環境修士。現在、現在、龍谷大学博士後期課程。
mail:nagao@a-de-v.com