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本好きにたまらないパッケージとその歴史
今回は、日本発祥の王道西洋料理、ハヤシライスを紹介します。
食べる前にまず、この商品に惚れてしまったきっかけはその包装のデザインです。明治2年創業の老舗書店らしい、重厚な洋書を思わせる箱にまず目を奪われてしましました。私がジュンク堂で講演をした時の頂き物だったので、最初はジュンク堂だけに本をくれたのかな…と思ったのです。
そして、開けてみると明治風の紋章の書いた赤い缶が二つ並んでいるではないですか。私好みのシンプルだけど重厚なデザインで、しばらく食べるのがもったいないと飾って眺めていたものです。個人的にぐっときたのが、この商品、缶切りがないと開けられないこと。最近、プルタブ式のものが多くなかなか缶切りを使う場面が減りましたが、私はあの手間が「缶詰を食べるぞ!」というワクワク感につながっている気がします。紙の本が好きな方は、おそらく、こういうアナログなところが好きな人が多いのではないでしょうか。少なくとも、本好きの私は、缶切りを使って開けるときに高揚感を覚えました。
開けてみると、中身もしっかりと量があります。牛肉は細切りになっていて、これが当時のハヤシライスの姿なのだろうか、といろいろと想像も膨らみます。一口食べると、酸味がやや強く、ウースターソースのような味がほんのりとする、昔風の懐かしい感じ。マッシュルームなどの具材がたっぷり入っているので、缶詰だとは思えない本格的な味です。ハヤシライスはハッシュドビーフとも呼ばれる日本発祥の西洋料理。牛肉の細切りと玉ねぎなどをドミグラスソースで煮こんだもので、白米と一緒に食べることが前提となった日本らしい「米飯を食べるための洋食」です。
そもそもハヤシライスはもともと老舗書店の丸善で、創業者の早矢仕有的(はやし・ゆうてき)氏が考案したことからこの名がついたとされています(諸説あります)。日本の洋食の黎明期から食べられており、明治時代や文明開化に思いをはせながら、味わっていただきました。
本や書店が好きな私はパッケージやその歴史、さらに懐かしい味に心奪われましたので、本が好きな方への贈り物などにぴったりです。
※掲載情報は 2019/07/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
羊齧協会主席(ラムバサダー)
菊池一弘
株式会社場創総合研究所 代表取締役/一般社団法人来来県代表理事/羊齧協会主席/オージーラムPR大使(ラムバサダー)/麻辣連盟(四川料理の消費者団体)幹事長 /華縁会(台湾華僑と日本人の交流団体)副会長。1978年生岩手県釜石市まれ。北京外国語大学卒業。著書に「東京ラムストーリー(実業之日本社)」「かんたん家庭で作るおいしい羊肉料理(講談社)」がある。
「とっかかりの場の提供」をコンセプトに交流会の開催、イベントの運営、場作りのプロとしてイベントや団体のアドバイザー業務を行う。
内閣府高齢者フォーラム/三菱総合研究所プラチナ社会研究所/大槌町コミュニティー再生会議/シブヤ大学/大正大学などで講師を務める。
「場創コミュニティ理論」「消費者主導の業界盛り上げ理論」「コミュニティ編集論」など、 独自の理論展開でイベント、コミュニティを利用したマーケティング、地方と首都圏の新しいつながりの創生など様々な形での「場」の設計・運営やそれらに纏わるコンサルティングサービスを提供。
本気の素人はプロを圧倒するをコンセプトに消費者に業界へ好意的第三者として意見を届ける団体をたくさん作るのがライフワーク。