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スイスワインの代名詞、シャスラ種の白ワイン
私が初めてスイス産のワインを飲んだのは、30年前の二十歳の頃。
ジュネーヴに訪問の際、有名なチーズフォンデュとオイルフォンデュを楽しみながら、スイスワインを飲んだ記憶があります。
白ワインの綺麗な酸味と独特の余韻が印象的でした。シャスラ種のワインだったかも知れません。
四半世紀の時を経て、赤坂のフランス料理店『フルヤ・オーガストロノム』で、スイスワインと再会します。
オーナーの古屋賢介シェフはベルギーの星付きレストランの他、スイスのレストランにも勤めていたそう。スイスワインの美味しさを良くご存知なのです。
こちらで出会ったスイスワインが、「シャトー・ラ・バティ プルミエ・グランクリュ」。
スイス・ヴォ―州産シャスラ種の葡萄を100%使用した、最優秀格付け1er Grand Cruワインです。
シャスラ種独特の湧き水のような透明感、厚みのある旨味、柑橘系の爽やかな余韻も感じられます。
スイスワインの特徴は、自国消費が極めて高いこと。そして売るためのワインにありがちなメーキャップを施さないこと。
レマン湖の影響を受けた独特の土壌と畑の斜面、そこから育まれる葡萄のポテンシャルを最大限に活かした清廉な風味は、唯一無二のものです。
スイスワインが希少といわれる所以は、全生産量に対して、国外に輸出される割合が僅か2%程なためで、このワインも伊勢丹新宿本店など、こだわりの強い限られたショップのみで購入可能です。
料理と寄り添う清冽な美味しさから、日本でもスイスワインをオンリストするフランス料理店、中国料理店、日本料理店が増えています。
どこかのレストランで見かけたら是非一度味わってみてはいかがでしょうか。
余談ですが、30年前のスイス滞在の時に出会ったのが、rue de Berneにある『ステットラー』というショコラトリーで、「ジュネーヴの石畳」と名付けられた美味しい生チョコの虜になりました。
スイスの『ステットラー』での味の記憶が、後に私の代名詞となる「ガトーショコラ」の原点なのです。
※掲載情報は 2019/06/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ケンズカフェ東京 オーナーシェフ
氏家健治
1968年東京生まれ。
ホテルオークラ東京、赤坂アークヒルズクラブ、レストランマエストロ等、高級店で研鑽を重ね、調理および製菓・製パンの技術を体得する。
1998年、東京・新宿御苑前に「ケンズカフェ東京」を開店。
ファミリーマートのスイーツ監修をはじめ、ライセンスビジネスも世界展開する。
また経営者・起業家向けのビジネス講演会も日本全国で多数おこなっている。
著書に『余計なことはやめなさい!』(集英社)、『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』 (SB新書) などがある。