焼きたてせんべい
銀座田子作 東京都中央区銀座1-22-10 ストークビル 1F
銀座には意外に昔ながらの地元の方の普段使いのお店が色々あります。ご近所のなかでも通りがかると素通り出来ない一軒がおせんべいの田子作さん。お店の前を通ると、仄かにぷうんと醬油の香ばしい良いにおいが漂っているからです。
吸い寄せられるように暖簾をくぐると、いつも穏やかなおじさんが「いらっしゃーい。丁度良かった。まだ温かいよ。」などと言い、迎えてくれます。備長炭の前で器用におせんべいの生地をくるくる返していらっしゃるお姿にはいつも時間を忘れて見とれてしまいます。焼きたてというだけでなく、材料を厳選されていることも素晴らしく、生地は千葉県産コシヒカリを蒸籠で蒸して搗いた自家製、醬油も千葉県産の本醸造天然醬油を使っていらして、潔く他の材料は一切使っておられない、もちろん保存料や添加物は一切入らない、昔ながらのおせんべいなのです。
真夏の暑い日も額に汗を浮かべながら焼いておられるので、「エアコンは入れないのですか?」と伺うと、「風が当たると炭の火加減が違ってくるのでね~」、とにっこり笑いながらおっしゃるのです。このように1枚ずつ大切に焼かれたおせんべいのお味は本当に心に沁み入るような美味しさなのです。シンプルに醬油のみの味付けが、お米の生地の旨味を引き出して、噛みしめると甘さも感じます。堅いくらいに香ばしく焼けていますが、厚みが薄めなので頂きやすく、心地よい歯ごたえです。
国産の安心な素材で丁寧に作られたおせんべいなので、小さなお子さんのいる友人たちへのお使い物によく使うのですが、甘くなくて良く噛むおやつは成長に良いらしく、とても喜ばれます。もちろん、お酒のアテにも最高の逸品であることは間違いありません。
銀座田子作 東京都中央区銀座1-22-10 ストークビル 1F
※掲載情報は 2019/05/20 時点のものとなります。
田中伶子クッキングスクール校長
中村奈津子
日本女子大学食物学科卒業後、全日本司厨士協会に就職。ニューヨークのニュースクール、フィレンツェのラ・フォールアカデミー、香港鴻星料理学院で学ぶ。2006年ニューヨーク駐在時より料理教室「LOVELY TABLE NEW YORK」を主宰。2009年帰国後、実家田中伶子クッキングスクールに勤務。2012年「LOVELY TABLE GINZA」開校。現在もニューヨークを行き来する活動をしている。
PHP研究所発行月刊誌「JAPAN CLOSE-UP」に料理記事連載。光文社「VERY」「女性自身」などに寄稿。BSフジ阿川佐和子氏の「阿川ごはん」レギュラー出演。日本テレビ「ZIP!」定期出演中。
主婦と生活社発行「一生作り続けたいおかず~50年の名門料理教室のベストレシピ150」が2014年本屋レシピ本大賞4位入賞。2014年9月講談社発行「本当に作りたい料理、ぜんぶ。」好評発売中。