すり下ろすという調理に魔法がかかる?どうしてフワフワに?

すり下ろすという調理に魔法がかかる?どうしてフワフワに?

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空気を含めながらすり下ろす。マイクロプレイン社の刃の作り方に惚れ込むこと必須。

仕事がら、すり下ろすという調理、その行為は人一倍経験してきました。
昔はアルミのペラペラのやりにくい「おろし金」を使っていました。はい、もちろん昭和のお話です。
嫌になってしまうんですよね、疲れるし効率悪いし。ですからセラミックの丸い平らな白いタイプが出てきたときは「動かなーい!」「やりやすーい!」と嬉しかったことを覚えています。


でも人は常にモアベターを求めるもの。例えばにんにくなどを少量すり下ろしたいときに「こんなに大きくなくてもいいんだけどなー」などと考えます。そして気に入ってたはずなのに慣れてくると「もっと早くできないかしら」などと考えます。

 

やがてスパイス料理のプロとして働くようになって別の需要が生まれます。ナツメグなど、ミルでは挽けない固形をパウダーにするという需要です。そこでお菓子のプロの方から勧めてもらったのがこれです。アメリカのマイクロプレイン社のゼスター(パウダーに挽くための調理器具)。

すり下ろすという調理に魔法がかかる?どうしてフワフワに?

彼女はお菓子に使うレモンの皮を挽いているとのことで、まずレモンからやってみました。
「楽しい!」そう感じました。スルスルできてゆき、力もかからず、本当にあまり楽しいので必要量以上にスリスリしてしまうほど。道具に大切なのはこれなのですね、使いたいけどストレスがあるのはだめなんです。アレやるの楽しいからやはり手をかけてレモンも自分ですり下ろそう、そういう気持ちにさせるのが良い道具です。

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そしてナツメグにはこれは本当に最高でした。中世のヨーロッパでは宝石商に作らせた宝石のデコレーション入りの自前のナツメグ削りを持ち歩くのが流行った時代があります。食事中に自慢のナツメグ削りを取り出して見せびらかしながら肉の上にすり下ろすのです。困ったことにナツメグは摂る量が多いと危険なスパイスなので、この時代にこのゼスターがなくてよかったですね、ついかけ過ぎますよほんとに。

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その他大根おろしにもおすすめです。空気を含んでふわっと下ろしてゆくので、フワフワに出来上がるのです。これはちょっと驚きですよ。凍らせた赤唐辛子と一緒に大根を下ろせば紅葉おろしも簡単です。青ゆずの皮などもスルスルできますから自家製の柚子胡椒に挑戦したくもなりました。

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にんにくしょうがには小さいタイプが使いやすいです。半かけ、などの量にも気軽に対応できます。ちなみにちょっと余談ですがにんにくをすり下ろすときは写真のように皮を剥いて後ろにめくっておくと、そこを持ってすり下ろせばちょっと楽ですよ。こういう道具は洗いにくい構造のものが多いです。でもこのゼスターは水道の水をかけるだけでさーっときれいになります。その点も合格です。

一つ持っているとワンランク上の料理を作る気持ちが盛り上がります。

※掲載情報は 2019/03/27 時点のものとなります。

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キュレーター情報

香取薫

インドスパイス料理研究家

香取薫

有限会社 食スタイルスタジオ 代表取締役
キッチンスタジオ ペイズリー 主宰。
1985年、ボランティアで訪れたインドでスパイス料理に魅せられ、本格的に研究を始める。さまざまな地方で本場の家庭料理を習う。料理教室は1992年創業、数多くのインド料理店主、講師を輩出。教室にはスリランカ料理とアーユルヴェーダ料理コースも併設。ポリシーは日本の気候や日本人の味覚に合う健康的なスパイス使い。
著書に『5つのスパイスで作れるはじめてのインド家庭料理』(講談社)、『家庭で作れるスリランカのカレーとスパイス料理』(河出書房新社)、『アーユルヴェーダ食事法 理論とレシピ──食事で変わる心と体』(佐藤真紀子共著、径書房)、『『ひとりカレー かんたんレシピ45』(幹書房)、『家庭で作る本格インド料理』(マーブルトロン)、『アーユルヴェーダ・カフェ』(著・上馬塲和夫、料理・香取薫/地球丸)、『うまい、カレー。』(ナツメ社)、『チャラカの食卓 二千年前のインド料理』(伊藤武共著、出帆新社)などがある。

日本アーユルヴェーダ学会 評議員
日本香辛料研究会 会員

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