鳥もつ煮
桔梗屋 / 水琴茶堂
ご当地グルメブームという事もあって、各地で新しい、いわゆる“ネオご当地グルメ”も花盛りな昨今。やはり、B-1グランプリの影響は絶大だなぁとひしひしと感じます。と共に、昨今は、従来からあるけれどローカルすぎて有名にならなかったご当地グルメというのが脚光を浴びつつあります。その先駆け的な御当地グルメが、山梨は甲府の“甲府鳥もつ煮”だと言われています。もともとは甲府にあるお蕎麦やさん「奥藤本店」で考案されたメニューで、冷蔵庫が無かった時代に、鳥もつをなんとか美味しく提供したいという思いから誕生したのだとか。で、それがご当地グルメだと気づいた甲府市職員さんらが、『みなさまのご縁をとりもつ隊』を結成して、B-1グランプリに出場したところ、2010年の厚木大会でゴールドグランプリ(いわゆる優勝)となり、一気に全国区になりました。
そんな「甲府鳥もつ煮」ですが、今や様々なお土産タイプが販売されています。中でも僕のオススメは『水琴茶堂』の商品。聞き慣れない店舗かもしれませんが、実は「信玄餅」で有名な『桔梗屋』の敷地内にある和風のレストランなのです。入り口には、店名の元にもなっている水琴窟(すいきんくつ)」があり、この水琴窟が発する音色は、とても清らかで繊細な自然のメロディーを奏でています。そんな粋も感じる店舗の「甲府鳥もつ煮」なので、しっかりとした甘じょっぱさがキンカンやハツ、レバーなどの鳥もつ自体にも浸透していながらも、ほんのり和風というか、爽やかな余韻も残る味わい。もちろん電子レンジでも温められますが、可能ならば具とタレをフライパンに移して、少し焦げるくらいに熱してみてください。そうするとより香ばしさと深みが増して格別です!
桔梗屋 / 水琴茶堂
※掲載情報は 2019/03/26 時点のものとなります。
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。