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しっかりとした食感、広がるバターの風味
八丁掘にある洋菓子店『BROWN』さんの「るれっと」を知ったのは、地元八丁掘にある会社の方から手土産としていただいたのがきっかけです。丁寧に一枚ずつ包まれたリング状のパイ菓子。「るれっと」という可愛い名前がとても印象的でした。
パイのお菓子というのは、結構色々なところで作られていて、よく食べるもののひとつなので、正直言って、いただいたときもそれほど感激したというわけではありませんでした。それが……ひと口食べたところで、びっくり。そのしっかりとした硬めの食感、そして香りの素晴らしさ、いくらでも食べられそうな後を引く美味しさ……と、今までに経験したことのないパイだったのです。普通、パイのお菓子というと、“サクッ”とした食感を思い浮かべますよね。ところが、こちらの「るれっと」は予想を覆す食感で驚いてしまったのです。
“カリっ”その歯応えにびっくり!とてもしっかりした食感に驚きました。そして噛むほどに口の中に広がるバターの風味。甘すぎない香ばしいカラメルの風味もたまりません。
「これはとてつもなく美味しい!」と、とっさに商品説明の小さなパンフレットを手にしていました。そこには「るれっと」の美味しさの秘密が書いてあり、とってもシンプルなお菓子なのにかなりのこだわりでとても手間をかけているのが分かりました。
3000層まで折り重ねたパイ生地
通常のパイ生地に比べ、4倍以上の時間と手間をかけて重ねられた生地はなんと3000層!2日間にわたって仕込まれるそうです。その後の焼き加減もとても重要。先代から受け継がれてきた「るれっと」の味を守るため、絶妙なタイミングを見極めて焼き上げられています。お店の看板商品として、長い間愛されてきた理由がとても良く分かります。
ちなみに「るれっと」とはフランス語で「roulette」。洋裁の時に生地に目印をつける小さな歯車のついた手芸道具に由来した“可愛いくるま”という意味だそうです。
添加物や保存料を一切使っていないということで、素材自体の持ち味がとても良くわかり、良質なバターや新鮮な卵、小麦粉の美味しさをそのまま感じられます。
あまり間食をしない私でも、ついつい食べたくなってしまう素朴だけど美味しさがいっぱいつまった贅沢なお菓子。さすが、長年に渡って作り続けられてきて、多くの先人にも指示されてきただけの理由があることがわかります。女性だけではなく、甘いものが苦手な男性にも好まれるお菓子だと思うので、ギフトにも最適です。本当に美味しいものが好きな方に、ぜひとも召し上がっていただきたい素晴らしいお菓子だと思っています。
※掲載情報は 2019/03/20 時点のものとなります。
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キュレーター情報
おから料理研究家
高橋典子
料理研究家・おから料理研究家/NONNON cooking salon主宰/NIPPONおからプロジェクト代表
慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、金融機関で約6年間の勤務。ロンドンとニューヨークでの約3年間の在住中、新しい食材や各国料理に出会い食文化の違い、食の安全の大切さ、日本の食材の素晴らしさを感じたことが「食」の仕事へ進むきっかけとなる。
帰国後、集英社・料理月刊誌「TANTO」のホームシェフとして選出され、レシピ提供など誌面で活躍。豆富にとうさんのおからと出会い、おからをライフワークにすることと決める。
2002年から自宅で料理教室「NONNON cooking salon」を開始。
2010年5月、初の著書「おから、豆腐、豆乳、野菜のお菓子」(文化出版局刊、第3刷)を出版。
2015年の「これがおから?なDailyレシピ」(文化出版局刊)出版をきっかけに、「NONNONおから普及プロジェクト」(2017年「NIPPONおからプロジェクト」に名称変更)を立ち上げ、おからの新しいイメージを作り、日常の食卓で多くの人におからを活用してもらえるような普及活動を幅広く行っている。