170年前の江戸時代から現代によみがえった「幻の山形天保そば」

170年前の江戸時代から現代によみがえった「幻の山形天保そば」

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奇跡の発芽と他品種との交配を避けた離島での種子採取

170年前の江戸時代から現代によみがえった「幻の山形天保そば」

2019年1月にテレビ番組で放映されたことで話題となった「天保そば」。番組を見ていない方のためにまずは簡単にこのそばの紹介をします。1998年福島県のある旧家の屋根裏から古い俵がみつかります。それは170年前の先祖が残したそばの実。江戸時代後期の天保の大飢饉で皆が飢えに苦しむ中、子孫に同じ思いをさせたくないと保存した貯蔵食だったのです。発見後、国や大学の研究機関に送り発芽実験を依頼。しかし「すべての種子で胚は腐敗しており、発芽する能力はない」という報告でした。それでもあきらめない「保存会」のメンバーがこの試みに挑戦します。そして見事山形の地で発芽。他の品種と交配しないように日本海の離島・飛島の畑で種子を採取し、山形内陸の畑で栽培し現在徐々に収穫が増加しています。いやいや、170年の時を超えてよみがえった江戸時代のそば。ロマンがありますね。わたしは自称そば通を気取っておりました。が、この話、知りませんでした。残念(汗)。たまたまわたしもこのテレビ番組を見ていて、すぐにネットで検索し酒井製麺所へ注文を!問い合わせが殺到したようでしたが、なんとか追加販売分に滑り込みできました。次の注文受付は2019年5月末か6月くらいになることがアナウンスされています。

170年前の江戸時代から現代によみがえった「幻の山形天保そば」

手元に届いた天保そば。いいですねぇ。期待が高まるパッケージです。現在「幻の山形天保そば」として商標登録されています。保存会の名称も「幻の山形天保そば保存会」に。いつもなら冷たいもりそばでいただきたいところですが、真冬の実食ということで今回は温かいかけそばでいただくことにしました。袋を開けて乾麺を確認。お、そばの実の粒々が見て取れます。そして茹で上がり……いや~いいビジュアルです。角があり力強さを感じます。そして一口ズルズルっと……うん、いい弾力と香りです。食べごたえがある昔ながらのそばという印象(って江戸時代からよみがえったので当たり前か)。でもいま流通しているそばは品種に改良に改良を重ね上げたものであることを逆に教えてくれるような荒々しさを感じるそばですね。この天保そばの成長する草姿はワイルドで枝も整然とせず勝手な広がりをみせるといいます。まさに改良以前のそばの先祖のような存在です。最新の種子の年代測定でも天保の大飢饉の前後ということが確認されたというこちらのそば。歴史とロマンも練り込まれた逸品を、手土産にいかがでしょう。

※掲載情報は 2019/03/01 時点のものとなります。

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キュレーター情報

菅野夕霧

コピーライター、グルメガイド

菅野夕霧

コピーライター、PRコンサルタント、Yahoo!ニュース配信元の『市ケ谷経済新聞』編集長。グルメや酒、沖縄離島旅が趣味。特にランチは“狙い”を定め、日々電車に乗って都内を中心に食べ歩いている。甘いモノを苦手としている関係で、“甘くない”土産の逸品を追求中。現在、All Aboutグルメガイドとして老舗店を紹介する「100年店ランチ」、日本トランスオーシャン航空の機内誌『Coralway』にて、「小さな島の小さな食堂」を連載中。著書に『ヤフートピックスを狙え』(新潮社)など。

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