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食感、舌触り、そして味わいと余韻が連続するイチジクケーキ
横浜。その地名は江戸後期より開かれていく日本の存在そのものといっていいくらいの歴史と伝統を持つ。一度住んでしまうと引っ越しができない!という友人も多く、その魅力を聞くとこう答えてくれる。「横浜だから」と。
久しぶりにホテルニューグランドまで出掛けた。お目当てのいちじくのケーキを買いに行くために。
山下公園に面した90年という歴史を育んできたそのオーセンティックなホテルは比類なき重厚な雰囲気を奏でる。この10年の間に出きていたモダンな外資系ホテルとは一線を画す。レトロなイタリアンライルでできた手すりには平和の歴史が刻まれ、90年という長い時間ホテルを支えた柱は、未だ衰えることなく流れる時間を支える。
一階にあるザ・カフェのシューケースには有名なレトルトカレーが並ぶが、脇を固めるスイーツこそ見逃せないものばかり。特に、今回ご紹介する「イチジクケーキ」は実に味わい深い逸品だ。
少し冷やしてナイフを入れると、散りばめられたイチジクの香りが生き返り、口に含むと言いようのない優しい味わいに包まれる。一見、普通の焼き菓子に見えるが食感、舌触り、そして味わいと余韻が連続し、他のスイーツが物足りなく感じてしまう。漂うのはハンドメイド感ある職人技。ひとつひとつが丁寧に、作りたての気持ちが込められている。
イチジクケーキにはコーヒーよりも紅茶が合うかもしれない。優しい味わいには紅茶の香りを添えたい。
ニューグランドから広まった料理「シーフードドリア」「スパゲッティ ナポリタン」 「プリン ア ラ モード」は、このカフェで楽しむことができる。
※掲載情報は 2019/02/22 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードビジネスデザイナー
嶋啓祐
全国の農村漁村をくまなく巡り、そこで使うホンモノの素材を探すことをライフワークにしています。ホンモノはいつも隠れています。全国の肥沃な土地で、頑固で不器用な生産者が作る「オーガニックな作品」を見つけて、料理人が少し手を加える。それが「ホンモノの料理」になります。毎月地方に足を運び、民泊に泊まり、地元の方々とのコミュニケーションを作るのが楽しみです。自然豊かな日本全体が食の宝庫です。自然、風土、生産者、素材、そして流通と料理人とその先にいる顧客。食に関わるすべての方が幸せになるような「デザイン」を仕事にしています。1963年に北海道は砂川(日本一になった美味しいお米ゆめぴりかの産地)で生まれ、18歳上京。大好物はイクラ、クレソン、納豆、ハーブ、苦手なのは天津丼などあんかけ系、豚足、焼酎。趣味は全国の神社巡りとご朱印集め。2018年より自宅料理コミュニティ「ビストロ嶋旅館」を主宰。