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NHKの番組「世界遺産」で紹介され一躍有名になり2018年に日本初上陸したテキーラブランド「フォルタレサ」。創業者のギレルモ・エリクソン・サウザ氏は、世界的に有名なテキーラの名門一家サウザ家の5代目になります。
フォルタレサ誕生秘話を学ぶ
サウザ家の歴史は、ギレルモさんの高祖父にあたるドン・セノビオ・サウザ氏が1873年にテキーラをつくり始めたことからスタートします。彼は「テキーラの父」と呼ばれ、メキシコの地酒だったアガベの蒸留酒のラベルに初めて「テキーラ」と記し、アメリカのニューメキシコ州で開催された酒類コンペティションに出品した事で、サウザの創業年が初めてテキーラが「テキーラ」として他国に渡った記念の年となりました。
2代目のドン・エラディオ・サウザは元々樽で売られていたテキーラを瓶詰めして販売を拡大し、ヨーロッパへの輸入を開始しました。続いて、当時世界各地でテキーラの模造品がつくられていた中、品質やイメージを守るために3代目のドン・フランシスコ・ファビエル・サウザが立ち上がり、1974年にメキシコ政府へ働きかけてテキーラの原産地呼称制を成立させ、厳しい規定に即したものだけが「テキーラ」を名乗ることができるようになりました。
その後、サウザ家は1976年に事業を他企業に売却し、一族はテキーラづくりをやめてしまいます。幼い頃に、大好きな祖父が病気で事業を続けられなくなり、蒸留所や所有していた土地をほとんど手放してしまう様子を見ていたギレルモ氏は、ファミリー経営で続けてきたテキーラビジネスに対する未練はありつつも、一旦全く別の仕事につきメキシコを離れていた時期がありました。
しかし、どうしても祖父達への思いやテキーラへの情熱が忘れられず、メキシコに戻り1999年にもう一度テキーラをつくり始める事にしました。
テキーラビジネス再建へのチャレンジ
1968年に操業を停止して以来ミュージアムとして手付かずのまま保存されていた、サウザ家が所有していた古くて小さな蒸留所を見つけ、「祖父が自分に残してくれたプレゼント」だという思いを込めてその場所を再建させます。
ただ、建物や設備も非常に古く、テキーラの蒸留所として稼働させるまでにはかなのりの困難があり、再建への道は遠く、そんな彼を周りの人たちはクレイジーだと冷たい目で見ていたようです。それでもあきらめずに、ついに2005年に蒸留所は新しく生まれ変わり、約30年振りにサウザ家によるテキーラづくりが再スタートしました。ギレルモさんの不屈の精神=フォルタレサが、そのままブランド名にもなっています。
元々、メキシコ国内に流通するものには祖父たちへの尊敬と愛情をこめて「Los ABUELOS (ロス・アブエロス)=おじいさん達」という意味の名前が付けられたのですが、とある国のお酒の名前とかぶってしまい、残念ながら海外で販売することができずに輸出するものは「フォルタレサ」となっています。メキシコ国内ではLos ABUELOSのまま販売をしているので、あえてメキシコ国内向けのものをコレクションしている方も多いそうです。
こうして、蒸留所を再建したのですが、尊敬する祖父達と同じ製法を使ってテキーラをつくることにこだわりました。
フォルタレサのこだわりの伝統的な製造方法
蒸留所を見学すると良く分かりますが、ボトル製造以外の全ての工程を小さな蒸留所内で行っています。
創業時から使っていた古いボイラーを使用し、原材料となるアガベをレンガ製のオーブンで加熱し、タオナと呼ばれる石臼でゆっくりアガベを搾汁。
その後、繊維の部分はメタノールのもとになるので、アガベジュースの部分だけを木桶の発酵槽で時間をかけてゆっくり発酵させます。
銅製の蒸留器も小さく、テキーラ本来の味を残すためじっくり蒸留することで、2回目の蒸留後の度数を調整します。加水もほとんどしません。
こうして人の手で手間暇かけてつくられたテキーラ・フォルタレサが完成。
商業的に大量生産するブランドも多い中、妥協せずに、自分の納得できるテキーラだけをつくるところがギレルモさんの一番のこだわり。
以前は馬鹿にしていた人達も、今では毎週のように彼に投資や買収の話を持ちかけてくるくらい、フォルタレサは世界的に認められ、有名なブランドへ成長しました。
彼の生家は、テキーラ村の観光名所として博物館になっているほど。
ちなみに、プライベートの彼はテキーラだけではなく動物愛も強く、ストリートドッグを保護して蒸留所の敷地内で10匹以上育てています。
歴代の愛犬のラブラドールはボトルのラベルにも描かれているほど。蒸留所を訪問すると、たくさんのワンちゃん達がまわりを囲み、幸せそうに過ごしているのを見ることができて、犬好きの方にはたまらない環境。
蒸留所は残念ながら一般公開していないのですが、世界遺産にも登録されたアガベ畑や歴史ある蒸留所の雰囲気が少しでも伝われば嬉しいです。
家族への愛情と、テキーラへの情熱から生まれた「フォルタレサ」。
ぜじっくり味わってみてください。
※掲載情報は 2019/01/28 時点のものとなります。
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キュレーター情報
テキーラPRプロデューサー
目時裕美
アジア最大級のテキーラの祭典「TEQUILA FESTA/TEQUILA LOUNEG」の主催をはじめ、日本におけるテキーラの記念日となる7月24日「テキーラの日」&2月22日「マルガリータの日」のプロモーション・記念セミナーやイベントの運営を手がける。
テキーラの主要機関であるCRT(テキーラ規制委員会)とCNIT(全国テキーラ産業会議所)、メスカルの主要機関であるCRM(メスカル規制委員会)のサポートの元、情報誌「TEQUILA JOURNAL」を発行。
2011年から毎年メキシコに通い、134ヶ所あるテキーラ蒸留所のうち80ヶ所以上を訪問しテキーラ業界の動向や最新情報を日々ブログやSNSで発信し続けている
テキーラ生産者やブランドオーナー、海外のブランドアンバサダーなどテキーラ業界関係者との交流も深く、新商品のリリースやローンチ企画、来日セミナーやイベントのプロデュース、販売サポート等にも携わる。