筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

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宮城県丸森町の風土が生んだ伝統食

宮城県丸森町にある『はらから福祉会』さんの“おからを使ったスイーツ”を開発する際に、現地に通っていた時、せっかくなので現地にしかない食材を知りたいと思いさがしていました。

 

最初は地元の方は、「ここには特別なものなど何もない」とおっしゃっていたのですが、丸森町に行くたびに、地元の方に伺ったり、直売所を見て回ったり、色々探しました。その際に偶然、農産物の販売所で見つけたのが、今回ご紹介する「ひっぽのへそ大根」です。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

「へそ大根」は丸森町の筆甫地区で伝統食として受け継がれてきた保存食の干し大根。その特徴はなんといっても、輪切りにされた大根の中央に空いた穴。この穴が「へそ大根」と呼ばれる由縁です。

 

地元の方々が昔から引き継がれて当たり前のように作ってこられたへそ大根は、皆さんはこれが特別なものとは思っていらっしゃらなかったようでした。逆に、この形を見て、また「へそ大根」というユニークな名前を聞いてとてもびっくりしていた私に、現地の方が驚いていらっしゃいました。

 

そんな経緯から、初めて出会った「へそ大根」。持ち帰って、家で調理をしてみて、そも給水力の凄さ(戻り方)、食べてみて甘さと旨味が凝縮されている美味しさ、そしてへそ大根の作り方を詳しく知れば知るほど、私は「へそ大根」のとりこになってしまいました。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

「へそ大根」は丸森町筆甫で収穫された大根を使って作られます。土作りからこだわった美味しい大根は、甘味があって、みずみずしい大根に育ちます。大根の持つ自然の甘味が干すことでぎゅっと凝縮されます。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

日本全国で様々な干し大根が作られていますが、筆甫のへそ大根は輪切りにした大根を一度茹でてから、ひとつずつ丁寧に串に刺して干します。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

筆甫地区は宮城県の最南端に位置する山里で、冬になると厳しい寒さが訪れます。串に刺された大根は夜に一旦凍り、日が当たるととけます。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

“凍る”のと“とける”のを繰り返し、自然乾燥させること1ヶ月。自然の力によって美しい飴色になった「へそ大根」が出来上がります。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

これまで様々な干し大根を食べる機会があったのですが、こちらの「へそ大根」は別格の美味しさ。地元で購入してきた「へそ大根」を自宅で調理して食べてみたのですが、あまりに美味しくてびっくり。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

軽く洗ったあとにぬるま湯で戻すのですが、しっかりつけておくとさらに柔らかくなります。ポイントとしては、戻し汁も大根の甘味がしっかり出ているので、煮物にするときは捨てずに煮汁として使うと、より風味を楽しめます。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

煮汁をたっぷり吸った「へそ大根」は、口に入れると“じゅわ~”っと旨みが広がり、やわらかく煮えているのに、しっかりした歯ごたえも感じられる、まさに主役を張れる干し大根です。これからの季節は、煮物のほかに、「へそ大根」の旨みを楽しめる「おでん」やお肉など洋風の素材とあわせた「ポトフ」などもおすすめです。

 

私はこちらの「へそ大根」のあまりの美味しさに、100袋くらいまとめて取り寄せて、料理教室の生徒さんにお配りして紹介させていただきました。地元の方にとっては、昔からある食材で当たり前だからと、決して特別なものではありませんでしたが、最近では、究極のスローフードとして注目が高まっているようです。

 

自然の恵みと地元の方の丁寧な手仕事で生まれる素晴らしい伝統食。ぜひ、皆さんにもこの丸森町筆甫の「へそ大根」の旨みを味わっていただけたらと思います。

筆甫(ひっぽ)で出会った「へそ大根」はユーモラスな形と染み入るおいしさに驚き!

画像出典元: 筆甫地区振興連絡協議会

 

 

■問い合わせ先
筆甫地区振興連絡協議会(筆甫まちづくりセンター)
住所:〒981‐2201 宮城県伊具郡丸森町筆甫字和田80‐2
電話:0224-76-2111

ひっぽのへそ大根

筆甫地区振興連絡協議会

※掲載情報は 2019/01/21 時点のものとなります。

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キュレーター情報

高橋典子

おから料理研究家

高橋典子

料理研究家・おから料理研究家/NONNON cooking salon主宰/NIPPONおからプロジェクト代表

慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、金融機関で約6年間の勤務。ロンドンとニューヨークでの約3年間の在住中、新しい食材や各国料理に出会い食文化の違い、食の安全の大切さ、日本の食材の素晴らしさを感じたことが「食」の仕事へ進むきっかけとなる。

帰国後、集英社・料理月刊誌「TANTO」のホームシェフとして選出され、レシピ提供など誌面で活躍。豆富にとうさんのおからと出会い、おからをライフワークにすることと決める。
2002年から自宅で料理教室「NONNON cooking salon」を開始。
2010年5月、初の著書「おから、豆腐、豆乳、野菜のお菓子」(文化出版局刊、第3刷)を出版。
2015年の「これがおから?なDailyレシピ」(文化出版局刊)出版をきっかけに、「NONNONおから普及プロジェクト」(2017年「NIPPONおからプロジェクト」に名称変更)を立ち上げ、おからの新しいイメージを作り、日常の食卓で多くの人におからを活用してもらえるような普及活動を幅広く行っている。

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