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世界販売数No.1テキーラ
世界90カ国以上で販売されている絶大な人気を誇るテキーラ「ホセ・クエルボ」。
クエルボは、スペイン語でカラスを意味しますが、メキシコではクエルボがあまりにも有名なためカラスとテキーラを同時に連想するそうです。1795年創業のこちらのブランドは、創始者の遠い先祖が、強盗に襲われた際にカラスのおかげで銃弾から命拾いしたことがきっかけだったことからブランド名を「クエルボ」と名づけたと言われています。
その認知度の高さと人気は、ハリスコ州のテキーラ村を訪れたら一目瞭然です。クエルボのレストランに始まり、ミュージアムそして5つ星ホテルまで運営しています。
今回は、クエルボ社が運営するHotel Solar de las Animasのレストランにて、世界に3人しかいないホセ・クエルボのテキーラ・マイスターの1人、ドンニャ・ソニアさんにテキーラ、そして料理の愉しみかたを伝授して頂きました。
テキーラ・マイスターになるためには、まずテキーラ業界に長年いることが必須条件となります。さらに非常に厳しい試験をいくつもパスしてはじめて与えられる称号です。その証として与えられるのが「クエルニート」と呼ばれる水牛の角で作られたグラスです。ソニアさんは、テキーラの業界で21年間活動してきたベテランで蒸留所のPRを担当し世界中にテキーラの魅力を発信しています。この仕事をはじめた当時、専門的な質問に答えられないこともあったそうです。これは勉強が必要と感じ、蒸留所で働く方々からさまざまな事を学びました。その結果、テキーラ業界では知らない人はいないエキスパートの一人となりました。
1997年から「クエルボ」で働きはじめましたが、クエルボの魅力はオーナーの経営哲学であるといいます。畑や蒸留所で働く人を大切にすること、伝統を守り続けること、そして自社のためだけではなく、テキーラ業界とコミュニティーに貢献することを大切にするブランドだからこそ、長く愛されるのだと語ってくださいました。
今回は、ソニアさんに特別にクエルボのテキーラの魅力をはじめ、一般的なテキーラや料理の味わい方を伝授して頂きました。まず、コース料理を頂く際は料理やお酒ごとに口の中をリセットする必要があります。その際に水でもよいのですが、オレンジとライムが、いちばん効果があるそうです。また、サルサやテキーラを使って、舌の前中後のどこで甘みや辛さを感じるのかを教えて頂きました。舌の先は甘み、両側は酸味、真ん中は鹹味、そして舌の奥は辛味に敏感だそうです。ソニアさんは、食事を楽しむということは舌のセンサーを使いリラックスしながらゆっくり味わうということがとても重要だとおっしゃっていました。
そして、1品目が運ばれてきました。最初はマッシュルームのソテーにブランコの組み合わせ。ほのかに塩味の効いてマッシュルームは、噛むほどに甘みがあふれ出してきます。ブランコのキリッとした味わいと絶妙な組み合わせです。
2品目は珍しい鴨肉のグリル・モレソースとレポサドです。ボリュームのある鴨肉は非常にに柔らかで、口のなかで溶けていくような味わいです。甘さと辛さを併せ持つモレソースが、上質なアーモンドやバニラを感じさせるレポサドにぴったりです。
デザートのチョコレートケーキには、アネホを合わせます。上品な甘みのチョコレートに、「マエストロテキレロ アネホ」のハーブや柑橘の絶妙な甘みがよりチョコレートの風味を引き立てます。
そして、食後のカクテルにはスモーキーなフレーバーが特徴的な「HUMITO」をベースにしたマルガリータを作って頂きました。ローズマリーを火であぶり、グラスに乗せることでよりスモーキーな香りを愉しめます。
最後にソニアさんにおいしいテキーラの見分け方を尋ねました。
「値段が高いもの、製法にこだわったものは沢山あるけれど、それだけで判断するのではなく、自分がおいしいと純粋に感じられるのがいいテキーラ。だからいいテキーラも悪いテキーラもないのよ。」とおっしゃっていました。
今回のディナーを通して、ソニアさんは自社のブランドの魅力はもちろん、どうやってテキーラを楽しむのかを教えてくださいました。ただ決して、自社のテキーラが一番とはおっしゃらず他社のブランドの優れている点についても楽しそうに話してくださいました。
そういえばディナー会場となったホテルやレストランもクエルボが運営をしていますが、クエルボが運営していることは前面に押し出しておらず、他ブランドのテキーラも取り扱っています。
ソニアさんがおっしゃっていた、「クエルボ」の経営哲学がここでも活かされていました。200年以上も愛される理由は、テキーラの品質の高さはもちろんですが、ソニアさんの人柄にも表れているようにその寛容さにもある事を感じる事ができるディナーでした。
※掲載情報は 2019/01/20 時点のものとなります。
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キュレーター情報
メキシコ合衆国大使館
北・中央アメリカに位置するメキシコは、西は太平洋、東はメキシコ湾とカリブ海に面していて、国土の3分の1は平均高度約1700mのメキシコ高原が占めています。古代にはマヤやアステカ文明で栄え、16世紀にはスペインによって支配されます。1810年まで続いた300年ものスペインによる長い統治にもかかわらず、7000年という歴史を持つメキシコ料理はその影響を最小限にとどめ、トウモロコシ、マメ、唐辛子をベース にした伝統料理をベースにした独自の食文化を守り続けてきました。その結果、2010年にメキシコ料理はユネスコ世 界無形文化遺産として登録されました。日本人に馴染みの深い「タコス」以外にも、さまざまな絶品料理がありますので本場メキシコ料理の魅力を発信していきます。