ミドリムシクッキーは未来の味がする!?

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59種類の栄養素のクッキー

そう、子どもの頃は食べるのが嫌いだった。虚弱体質で好き嫌いが激しく、当然食は細く、ご飯を食べる時間はあまり楽しいと思わなかった。

 

そんな時期にマンガ本を観ていたら「未来の食事」という図解ページがあり心を奪われてしまった。「未来の食は必要なエネルギーや栄養は小さなカプセルを飲むだけで1日生活が出来る」なんて未来は素晴らしいのだろうかと、その時は本当に思うくらい食べるのが苦痛だったのだ。

 

さらに、忍者ブームの時代だったこともあり、忍者の携帯食「兵糧丸(飢渇丸)」にも興味を示した。この兵糧丸1個で何日も食べずに過ごせるのは、カロリーや栄養素がぎっしり詰まっている理想の食だと子ども心に感じたのだ。

 

1968年にスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)』が公開されて、最初に観た時の一番野印象は無重力の宇宙ステーションの中で食べていたシーンは今でも鮮明に覚えている。トレイの中で4つに仕切られている4つの色の食べ物はなんだったのだろうか?映画の中で判るのは「チキン」とか「ハム」のようなペースト状の食事だったが、それは思い描く未来の食ではなかった。

 

その映画から20年後の1983年にたんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素が1食に中に詰まっている食品が発売されたが、その名は「カロリーメイト」。大塚製薬が経口から摂取する栄養食品として開発したが、元のイメージは「宇宙食」だそうだ。1本当たりの100kcalで手軽に栄養補給ができ災害などの際にも役に立つ、考えてみると「宇宙食」もそうだが、忍者の兵糧丸の方に近いかもしれない。その後に栄養食は、ジェルタイプやドルンクタイプと多くの種類が増えて、人々に必要とされるジャンルとして成長してきた歴史がある。

 

大上段に言うと人類は飢えから逃れるための「食物獲得」の歴史であり、そのために栄枯盛衰を繰り返してきた。自然界の動植物を乱獲し、あげくは絶滅させて食べることが出来なくなったと怒り、嘆く。そんな中で無限に供給されるものを使って栄誉源化する研究を行っている研究者がいる。5億年以上前に誕生したミドリムシ(学名ユーグレナ)は植物と動物両方の性質を持った昆虫とはまったく異なり若布や昆布と同じ微細藻類で、植物のように光合成を行い栄養分を体内に溜め、動物のように細胞を変形させて動くという、植物と動物両方の性質をもつ不思議な微生物なのだ。

ミドリムシクッキーは未来の味がする!?

ミドリムシと言っても、世界中で100種類以上存在しており、保有している栄養素や大きさなど種類によって異るそうで、そのミドリムシの中でも、特に食品として研究が進められているのが「ユーグレナグラシリス」という品種。「ユーグレナグラシリス」は、 59種類もの栄養素を持っているのだが、列挙してみるだけでも大変である。ビタミン類のアルファカロテン、ベータカロテン、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K1、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸。ミネラルは亜鉛、リン、カルシュウム、ナトリウム、カリウム、鉄、マンガン、銅。アミノ酸は18種、不飽和脂肪酸11種でクロロフィルなどその他の栄養素も7種と栄養素の宝庫なのだ。

ミドリムシクッキーは未来の味がする!?

今回紹介するミドリムシクッキー「ユーグレナクッキー」は東京大学などで研究が進められ、産学連携による最新の研究と技術で、2005年、石垣島で世界で初めて食品としての大量培養に成功したとのことだ。

ミドリムシクッキーは未来の味がする!?

実はこの「ユーグレナクッキー」はずいぶん前から知っていたのだ、休日に自宅から遠出の散歩するコースに本郷の東京大学のキャンパスの中にショップ(東京大学コミュニケーションセンター)があり東大で研究共同開発した商品が並んでいる。子どもの頃に食べるのが嫌いで未来にはカロリーや栄養素は簡単に取れる時代がくると思っていたが、これは、現在饑餓に喘いでいる地域の食でもあり、さらに昆虫を栄養素として食糧難を救うか。2019年初頭で食に未来について考えてみてもいいのでは。そう、肝心の味だが青汁を固めてクッキーにしているようで、
お世辞にも美味しいとは言えないが体には良いのだろう。

※掲載情報は 2019/01/02 時点のものとなります。

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後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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