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貝の形をイメージ!多くの賞を受賞した世界に羽ばたく老舗
今回は「北東北食文化大使」である私がおすすめする、母の日や結婚のお祝いなどにプレゼントしたい逸品だ。
1975年2月17日に通商産業大臣指定伝統的工芸品(現在の経済産業省指定伝統的工芸品)に指定された南部鉄器。その歴史は平安後期と古く、約900年の歴史がある。岩手県の奥州藤原氏時代の遺跡から鋳型が見つかっており、中尊寺などの寺院の備品としても鋳造されていた。南部鉄器は、奥州市のものと盛岡市のもので、歴史が異なる。今回は奥州市の南部鉄器をご紹介したい。
都内の有名外資系ホテルでは、採算度外視で「分かる人に、分かってもらえたら」と『及源鋳造』さんの「急須 平型糸目」の採用を決めた。本来、丸いイメージの南部鉄器の急須だが、こちらは平らな形が印象的。それは海外のお客様の好みを考慮し、試行錯誤を重ねてモダンなデザインに仕上げているからだ。さらに、日本の「わびさび」を伝えるために、表面は鉄の手触りを通して砂肌の美しさを表現。
通常、丸い急須は茶葉を入れる茶こしが入っている。しかし、この急須は粉茶やティーパックに対応できるよう作られているため、茶こしがついていない。つまり、紅茶にも活用でき、手軽に南部鉄器を楽しむことができる。洗う手間も少なくてすむのも嬉しいポイントだ。
私は母と次の写真のようにして、和菓子をいただくのに使ってみた。急須の高級感が羊羹をさらに美味しく感じさせてくれ、素敵なひと時を過ごすことができた。ちなみに羊羹は280年の老舗『圓八』さんのもの。こちらも改めて、ご紹介したい。
新緑の茶葉が販売される5月。
湯のみ茶わんや新茶とともに、プレゼントしてみてはいかがだろうか。
以前、職場の先輩の結婚のお祝いに、某海外メーカーのコーヒーメーカーを、職場のみんなでプレゼントしたことがあった。先輩からの希望とは言え、当時高価なものだったため、みんなで話し合い購入したのを、今でも覚えている。いろいろ話し合いながら選ぶ。そんなプレゼントの仕方も素敵だ。こちらの急須なら、和菓子などと一緒にプレゼントにしても喜ばれるだろう。
最近は、和食が見直されている。そこで、カテキンを含む日本茶や、リラックス効果のあるハーブティを手軽に楽しめる急須で。ティーパックは手を抜いていると思う方もいるかもしれないが、それを一気に高級感溢れるひとときにさせてくれる。現代の生活に合わせて、形を変えてるとも言えよう。
この日本の伝統工芸は「分かる人に、分かる」逸品。目利きの有名外資系ホテルが、採算度外視で導入を決めた品物は、また格別な上品さがあり、奥ゆかしい。この話は、メーカーの社長も知らない商品採用に至ったお話だった。このコラムを読んだ方のみしか知らない、そんな内緒の裏話を添えて。
私のおすすめは光沢のある、紅色の湯のみ茶碗。
黒の南部鉄器の深みを際立たせてくれるコントラストが、華やかで豪華さを演出してくれる。
※掲載情報は 2018/05/07 時点のものとなります。
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キュレーター情報
発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー
高橋香葉
「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。
主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等