あのとげぬき地蔵に、アルザス仕込みの名パティスリーが。

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巣鴨の名前を冠した黒豆入りのマドレーヌ

3月に代々木上原から巣鴨へ仕事場を移転した。今までは自宅から仕事場まで50分くらいかかっていたが、移転して10分の距離に縮まった。代々木上原ではパンやスイーツを紹介したが、巣鴨で紹介するものというと饅頭や煎餅だろうか。そう思ったら大間違いである。仕事場から徒歩3分の場所にある『パティスリー ヨシノリアサミ』。2015年10月10日にオープンしたのでまだ3年にならない新しめの店だが、スイーツの名店として有名なのだ。

あのとげぬき地蔵に、アルザス仕込みの名パティスリーが。

入口にはコウノトリが大きく描かれていて、これはオーナの浅見欣則シェフが修行をしたアルザス地方のシンボルである。コウノトリが口に加えているのは、シェフの頭文字とアルザスの「A」をデザインしたアルザスの伝統菓子「プレッツェル」だ。この「プレッツェル」はドイツ発祥の焼き菓子だが、柔らかいパンタイプのものあり、岩塩の塩っぽさがビールとの相性が良いのだ。フランスには「ブラッスリー」と呼ばれる料理店があり、ビアホールのように酒と食事を提供する大衆食堂的な場所でプレッツェルはビールとともに売られているのである。1870年からの普仏戦争の時にアルザス=ロレーヌ地方からパリに移住した人々が、ザワークラウトとビールを提供する店をはじめたのが現在のブラッスリーのルーツといわれている。

 

アルザスはフランスだが、ドイツ的もな要素もある不思議な地域で、ここに魅了される日本人の料理人も多い。レストランガイドで星を獲得したフレンチレストラン『ル・マンジュトゥー』の谷昇シェフもアルザスで修行を積んだ一人なのだ。
浅見シェフも、渡仏して最初はスイスの国境に近いオートサヴォワの『パトリック・シュヴァロ』からアルザスのルレ・デセール店『ダニエル・ルベール』、ストラスブールにあるパティスリー『キュブレー』でシェフパティシエを10年務めたという経歴の持ち主だ。そのアルザスの雰囲気満載のパティスリーが巣鴨にあり、「とげぬき地蔵商店街」からもわずか数分の住宅地の中にあり、休日や縁日のある4のつく日になると、店内に客が大勢押し寄せてくるのだ。『パティスリー ヨシノリアサミ』で人気なのはやはりアルザス地方の伝統菓子の「フォレノワール」で、フランス語で「黒い森」という意味のこのケーキは、チョコレートのクリームにシロップ漬けのチェリー、上にバニラクリーム、チョコレートスポンジ重ねてあるもの。だいぶ惹かれたが、あえて、巣鴨らしいスイーツを選んでみた。

あのとげぬき地蔵に、アルザス仕込みの名パティスリーが。

巣鴨に因んで付けられた「ガモレーヌ(Gamoleine)」というマドレーヌで、巣鴨の「ガモ」にマドレーヌをかけている。「ガモレーヌ」の中には北海道産の希少な黒千石大豆が数粒入っていて可愛いのである。一度、とげぬき地蔵の「高岩寺」にお参りして帰りに、『パティスリー ヨシノリアサミ』に立ち寄ってはいかがだろうか。カフェが併設されているので、ひと時の憩いの時間も過ごすことができる。仕事に疲れたら甘いものを食べて息抜きしよう。良い場所に仕事場を移転したと思うこの頃である。

ガモレーヌ

パティスリー ヨシノリアサミ 東京都豊島区巣鴨3-23-3 ハウス桃李1階

※掲載情報は 2018/04/23 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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