「金曜やきたて」(九州産)
増辰海苔店
東京・九段の地で創業した増辰海苔店。創業年は1914(大正3)年なので、100年超えの老舗店です。海苔のソムリエを自称する目利きが全国の海苔入札会に出向き、買い付けたものを中間流通をカットし販売する海苔問屋の同店。そんな増辰でわたしが以前から注目していたのは「金曜焼きたて」という海苔です。製品名がもうストレートというか、シンプルでありながらその価値をしっかり訴えてきますね。“ところであなたは焼きたて海苔を食べたことがありますか?”と(笑)。毎週金曜日の朝10時に店頭に出るこちらの商品。お昼くらいに限定50セットが売り切れてしまうこともある、とのことで10時2分くらい前に伺いました。ちょうど店員の方が店先に2種類の「金曜焼きたて」海苔を陳列中です。シルバーのパッケージに赤い文字と緑の文字の2種。赤い方は「九州産」、緑の方は「千葉産」で、今回手に取ったのは赤の九州産の「金曜焼きたて」です。
こちらの商品は、半切8枚(=板海苔4枚分)で540円(税込)。結構いいお値段ですね。いよいよ実食ですが、やはりここは白いご飯と合わせたい、ということで白飯と筋子を準備。まずは醤油をつけずに白飯のみでいただきます……うん、いい香りと歯ごたえ。そして口の中でとろける印象があります。続いて、少し筋子を加えていただきます。温かいご飯、筋子の塩味、そしてこちらの海苔……間違いのないいいハーモニーです。上品な海苔の場合、醤油は必要ないかも知れませんね。結局この日は醤油を使わずに完食を。ちなみにもう一方の千葉産は、巻物向きの固さが特長とのこと。これはこれで近々試してみたいですね。少し高価な海苔は、なかなか自分用に買う機会がないものだったりします。これこそプレゼントに相応しい商品かと。金曜日に焼いたという“鮮度”もお届けできる老舗店の逸品を、手土産にいかがでしょう。
増辰海苔店
※掲載情報は 2018/04/02 時点のものとなります。
コピーライター、グルメガイド
菅野夕霧
コピーライター、PRコンサルタント、Yahoo!ニュース配信元の『市ケ谷経済新聞』編集長。グルメや酒、沖縄離島旅が趣味。特にランチは“狙い”を定め、日々電車に乗って都内を中心に食べ歩いている。甘いモノを苦手としている関係で、“甘くない”土産の逸品を追求中。現在、All Aboutグルメガイドとして老舗店を紹介する「100年店ランチ」、日本トランスオーシャン航空の機内誌『Coralway』にて、「小さな島の小さな食堂」を連載中。著書に『ヤフートピックスを狙え』(新潮社)など。