みち乃くせんべい
賣茶翁 宮城県仙台市青葉区春日町3-13
仙台への出張は今や日帰りが常識。打合せ等に追われ、牛タンやお寿司など仙台名物を堪能する時間の猶予もないご時世。「せっかく行ったのだから、せめてお土産くらいは美味しいものを買って帰りたい」といった心境になる方も多いでしょう。わたしも例外なくその一人。
今回はお茶会に出される上生菓子の名門であり、予約も受け付けない『賣茶翁(ばいさおう)』さんに決定。開店は9時30分、始発で仙台入りをし、「みち乃くせんべい」を購入すべく、いざ『賣茶翁』へ!
仙台駅からタクシーで15分程度の仙台市春日町。車を降りると、どなたかの邸宅にお邪魔するかのような佇まいのお店が一軒。ホームページなし、電話番号の掲載なし、ガイドブックにも紹介されていませんので、希望のものが購入できるかどうかは行ってからの運しだいということになります。
このお店の歴史は古く、かつて江戸時代に賣茶翁(1675‐1763)という僧侶がおり、煎茶の中興の祖・茶神と呼ばれていたそうです。氏が一時期、仙台の萬寿寺で修業をしていた時にお店の初代と交流があり、初代が「師」と仰いで教えを乞うていたことから、店名に名前をもらったとされています。
「早起きは三文の徳」とは言ったように、私も有難いことに「みち乃くせんべい」と焼きたてのどら焼きを買うことができました。沖縄波照間産の黒砂糖を一枚一枚刷毛で塗り、薄い紙に包まれた直径約5.5センチ、小ぶりで繊細なその一枚は、おせんべいというよりも薄い最中の皮を優しい味わいの砂糖で包んだかのよう。口どけよく、お茶と永久運動ができそうなくらい後をひかない美味しさです。仙台の人々の努力を見せない惜しまぬ優しさと味わいが重なり合います。ひと箱もあっというまに完食。
箱の中には初代「渡邊僊爺」氏が菓子造りについての心得などが書かれたしおりが入っていて、読みながらいただくと、初代と共にタイムスリップしておせんべいを味わっているような気分になりました。
毎年5月24日は仙台藩主 伊達正宗公の法要が行われ、本殿の扉が御開帳となる仙台観光を織り交ぜながらの旅のお土産にも、出張のお供にもお勧めです。
賣茶翁 宮城県仙台市青葉区春日町3-13
※掲載情報は 2018/03/13 時点のものとなります。
秘書
水越かをり
上場建設会社に入社後、総務、広報を経て、会長・社長の秘書として約20年担当。
「手土産」を選ぶ際、特に気を付けている「気遣いさせすぎない手土産選び」。社内でもプライベートでも手土産をお勧めする場合は必ず自分で買って試食をしたものの中から選んでいます。「味」「見た目」「コストパフォーマンス」「差し上げる方の出身地」「その方の大切にしているもの」等色々な視点で差し上げる方を思い浮かべながら、話題の新商品から老舗の伝統の味を守る品物まで、差し上げる方に寄り添った品物選びをしています。
プライベートでは現在は英会話、着物を現在習っています。どちらも個人レッスンで先生に恵まれ、仕事とはかけ離れた集中できる時間を大切にしています。長年訪れる香港の友人たちとの交流の中で、従来嗜んでいた茶道や華道に加え着付けを習い日本の伝統について英語で語り合うこと、また、世界の習慣を学ぶことも楽しみのひとつです。来たる東京オリンピックに向かい、訪日される海外の方々へのボランティアガイドをするので、一緒に日本の伝統文化の事を触れた折に日本の手土産の習慣についても説明できる日を楽しみにしています。