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おせち料理や結婚式など、おめでたい時には欠かせない車海老。たくさんの種類の海老が流通していますが、「姿の伊勢海老・味の車海老」という言葉があるほど、車海老の美味しさはまた格別のもの。それもそのはず、うまみや甘味のもととなるグリシン(アミノ酸の一種)の含有量が100gあたり1600mgと、エビ類の中でも最高の部類に属するのです。
さて、その美味しさは誰もが認めるところかと思いますが、みなさん、産地はどこだかご存じでしょうか?あまりぱっと思い浮かばない人が多いのではないでしょうか?それもそのはず、卸市場に届いた時点で大きさ別に選別され、産地に関係なく同じ水槽に入れられるため、産地がどこかというのがその時点でわからなくなることがほとんどだからです。
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実は、日本で最も生産量が多いのが、沖縄県の離島・久米島です。海水温度が高い沖縄県の海域では、車海老は卵を持つことができないため、天然ものは生息していないのですが、海水温度が低くなると冬眠して成長が止まってしまう車海老が、沖縄県の温暖な海ならば年間を通じて成長できると見込まれ、1970年頃から試験が開始されました。89年に組合が発足し、生産技術確立に向けて試行錯誤が繰り返されましたが、順風満帆とはいかず、大きな損害が出てしまったこともあったそうです。そんな中、2000年に設立された沖縄県海洋深層水研究所が、車海老養殖発展の鍵となりました。10度前後と低温で無菌に近い海洋深層水の利用により、車海老が安定的に卵を産むことができるようになり、ウイルスの心配がなく安心・安全な車海老の養殖技術の確立に成功し、またたくまに全国一の産地に躍り出ることとなりました。
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従来は卸市場を通じての提供がメインでしたが、現在では産地直送の仕組みも整い、久米島から直接全国の消費者の手元に発送できるようになっています。また、さばくのが大変な活き車海老だけでなく、収穫後に急速冷凍された冷凍車海老もあり、沖縄県内では中元歳暮のシーズンになると、ギフトとして人気を博しています。
さて、とっても美味しい車海老ですが、加熱するとくるっと丸まってしまうのが困りもの。(わざとそうする場合もありますが)てんぷらやフライなど、まっすぐのまま調理したい場合は、下処理に少しコツが必要です。プロの料理人の方に上手な下ごしらえの仕方を教えてもらったので、ご紹介したいと思います。
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1:尾を揃えて端を切り落とします
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2:頭と胴体の境目に指を入れ、頭を横にひっぱって外します。ワタがついてくるので、ゆっくり引き抜きます。
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3:海老をひっくり返し、尾に近い脚のほうから親指を入れて、軽く外していきます。
両側を1周すると、つるりと外れます。
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4:背中側に包丁で細かく切れ目を入れます。
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5:両手で持って、「海老ぞり」させます。特に尾に近い部分は入念に。
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6:身がふわふわっとした状態でまっすぐになりました。これで下ごしらえ完了です。
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身はてんぷらやフライにして、頭はそのまま軽く薄力粉をはたいて油で揚げると、おいしいおつまみになります。ちょうど久米島を訪れた際に沖縄県車海老漁業協同組合主催の「車海老丼グランプリ」というのを開催していたのですが、各ホテルや料理店のシェフが、個性豊かな車海老を使ったどんぶりを披露していました。
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そうそう、味付けはもちろん久米島の塩で!久米島の海洋深層水で育った久米島の車海老の体内には海洋深層水が含まれているので、やはり同じように海洋深層水からできた塩が相性抜群です。島内に4か所の製塩所があり、形や食感、味わいが異なる個性豊かなおいしいお塩が作られています。
贈り物に「久米島産車海老+久米島の塩」。喜ばれること間違いなしなので、ぜひ、お試しあれ。
※掲載情報は 2018/03/05 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ソルトコーディネーター
青山志穂
東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。