本手焼 粕壁
利根川煎餅 住所:埼玉県春日部市粕壁東1-22-8 TEL:048-752-3364
まず、開封した瞬間に、辺り一体に香ばしさが広がり、あたかも、煎餅屋さんの店先にいるかのような気になった。この芳醇な醤油のかぐわしさ……日本人ならば、きっと誰もが、ほっと心休まる香りだろう。掌からあふれるほど大きなこの煎餅を、日々、一枚一枚焼いているのは、煎餅で名高い埼玉県春日部市に構える、『利根川煎餅』。明治三十八年に創業され、老舗として愛され続けるこの店のこだわり抜いてきた姿が、そのままの味となったのであろうと容易に想像できる風味と味。
商品パッケージの記載より引用するが、煎餅は、三百年以上前の寛永年間に、埼玉の草加松原にあった茶店の、「おせん」というお婆さんが店に立ち寄った侍の話から、団子をつぶし薄く延ばし焼いたというのが起源という。
厳選素材のみで作り上げ、手焼きで焼き上げた、この正直で実直な煎餅。そもそも、醤油の焼けたあのかぐわしさは、天然アミノ酸成分の焦げた香り。上質な醤油を使うと、上質な香りを醸し出すのは言わずと知れたこと。煎餅にも、料理にもそれは通ずる。
ほっとしたいお茶の御供にはもちろん、私は、これに柔らかいチーズを少し載せ、白ワインと合せる。気取り過ぎず、具合良く、夜のほっこりの時に寄り添ってくれる。「しょうゆ」「青のり」「ごま」と煎餅の定番で勝負しているところも職人気質。化学調味料を一切使用していない、滋味滋養な煎餅。
海外への持ち帰りやお土産にも、日本のかぐわしさを丸ごと届けられ、いいかも。
店頭販売・電話注文のみ【店休日:水・木】
利根川煎餅 住所:埼玉県春日部市粕壁東1-22-8 TEL:048-752-3364
※掲載情報は 2018/03/07 時点のものとなります。
書家/宇佐美本店(株)
宇佐美志都
書家・文字文化文筆家。創業明治二十九年 宇佐美本店(株)代表取締役社長、四代目。
官公庁・国連総会・企業等の書の揮毫、CM・書籍等々の書など手掛けてくる。文化勲章受章の漢字学者・白川静氏より、文字文化認定講師を拝命し、「漢字の成り立ち(白川文字学)」を規範にした、執筆や講演活動。
また、家業である宇佐美本店(養生出汁醤油・ポン酢醤油等の和調味料メーカー)の四代目としても従事。
海外生活(シアトル3年、LA2年、ロンドン1年)から得た観点と、近年では、シアトルにて妊娠・出産した事を機に、海外での日本人の健康維持管理や海外健康生活を支える食を探求。現在、鎌倉在住。滋味滋養の逸品、海外生活にも重宝する逸品、和調味料に合う逸品を御紹介します。