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ドイツワイン×中華料理。まさかの組み合わせは、まさかの好合性
ワインと料理のペアリング、いわゆるマリアージュ(フランス語で「結婚」)はとても楽しいものですし、ワインをより豊かに味わうためにもいろいろ試していただきたいもの。愛好家の中では妙に窮屈に考えてしまう方もいらっしゃるようですが、あまり難しいこととして考えずにまずは気軽に。
ペアリングのヒントはいろいろありますが、そのひとつ、ざっくりとしたものとして、国や地域同士であわせるというものがあります。フランス料理とフランスワイン、スペインワインとスペイン料理、南イタリアのワインならオリーブオイル、トマト、魚介で、ippinでも紹介したようにアルゼンチンワインとアルゼンチンの人々がこよなく愛する牛肉のステーキなど、その国の食文化ごと楽しむやり方です。これは王道。結婚でいえば地元が一緒だったり学校の同窓だったりという感じですかね。
一方で、ある国のお酒と、全く別の国の料理が不思議に手を取り合い、素敵な世界を作り上げる時があります。国際結婚だったり、東京の男性と京都の女性とか、ものすごく年齢差があったりというような、一見、一聞、ほんと??って思えるもの。でもこれがまた、相性抜群だったりすることがあるんです。ippinコラムで僕が紹介した中では、シャンパーニュと和食、ボージョレとお節料理などがありますが、今回紹介したいのが、「ドイツワイン」と「中華料理」。
「あれ?ドイツって甘い白ワインでしょ? 中華と??」という声が聞こえてきそうですが、この「ドイツは甘い白ワイン」という定説は、その昔(30年~40年ほど前)、日本ではワイン全体としてやや甘口のものがよく飲まれている時期があって、その際、ドイツの一部の銘柄が日本でよく飲まれ、その時の記憶から、ドイツワイン全体が甘めの白ワインという印象が日本では定着したというもの。もちろん良質な甘さの白は、今でもドイツの得意技ではありますが、多彩なタイプのワインも豊富なんです。最近では、冷涼地域であることのメリットを生かした「伸びやかで美しい酸」と「可憐で濃密なアロマ」の融合による美しくて楽しいワインたち。凛とした芯の強さと、逆に包容力とも言いたくなる優しい表情。気品と素朴な笑顔の両面が自然に溶け込む喜び。そんなフレーズが浮かぶようなワインが注目されています。
このドイツワインが持つ魅力は、フードフレンドリーにもつながります。ということでドイツワインの多彩な魅力を紹介している機関『Wines of Germany』が提案したのが、中華料理とのペアリング。確かに酸と油、アロマとスパイスの関係性を考えると、期待の高まる組み合わせではあります。そのペアリングランチを体験したのですが、例えば、日本の中華においてはポピュラーな「酢、しょうゆ+ラー油」とピノ・ノワール100%のゼクト(スパークリングワイン)は、ゼクトの適度に締った果実味が油をきれいに流しながら、ラー油の痛快な辛みを上品な余韻に。四川料理でおなじみの「山椒」にはピノ・グリのワイン。『Wines of Germany』がセレクトしたワインは、ムスク的なアロマとしっかりした旨みがあって、山椒の清涼感と一緒になると、初夏、夜の都会のボタニカルガーデン、そのテラスでのディナーといった趣も。不思議な風景が浮かびます。
その中で、これは素晴らしいなあと感じたペアリングが「白ごま」のペーストを使った棒棒鶏と、今回紹介する「フーバー ヴァイサーブルグンダー(ピノ・ブラン)2013」。白ごまのペーストの要素を分解すると、コクと甘み+オイリー。これをワインが持つ、トロピカルフルーツの柔らかいアロマと果実味がおおらかに広げながらも、集中力と緻密さが、棒棒鶏をエレガントに見事に格上げ。ワインそのものを紹介すると、産地であるバーデン地方は、冷涼ながら日照量が多いということで、その風土を存分に感じられる美しいボリューム感があり、その、ブドウの良さを生かす、さりげない技巧にも好感が持てます。おそらく他にも中華風の白菜のクリームソース煮や、軽めのニンニクやスパイス、香草とあわせる鶏肉全般でもいけそうで、ちょっと広げると、肉焼売や春巻きを、酢醤油ではなく中の具を濃いめに味付けしておいて、塩だけをちょっとつけて食べるような、そんなスタイルも美味しそう。
他にも「オイスターソース」の牛モモステーキと、ドライな「リースリング」や「ピノ・ノワール」と「黒酢」の酢豚に、「豆板醤」を使った麻婆豆腐と、アカシアハニーの甘みにパイナップルの酸が追いかけてくるやや甘口の「リースリング」などなど、多彩な中華料理と意外な好合性の連続。
僕も、シャンパーニュ(のいくつかの銘柄)とヴェトナムやタイなどのエスニック料理や、カレーや和菓子と相性のいいワインを探ったり、いろいろな楽しい冒険をしてきましたが、中華料理とドイツワインは、もっと掘り下げ、広げていきたいもの。「フーバー ヴァイサーブルグンダー(ピノ・ブラン)2013」を軸に、もっといろいろな中華メニューとあわせてみようかなと虎視眈々です。
※掲載情報は 2018/02/12 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインナビゲーター
岩瀬大二
MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。