今どきのチリワイン。ここに注目!~「カルメネール」から伝わる大地の力~

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名門だから贈ることができるカルメネールというプレゼント

今どきのチリワインの面白さ、素晴らしさについて、5つのキーワードをもとに、日本でも入手可能なアイテムを紹介していく本シリーズ。3回目の今回はチリのブドウ品種にスポットライトをあてます。

 

赤ならカベルネ・ソーヴィニヨン、白ならソーヴィニヨン・ブラン。日本におけるチリワインのブドウ品種の定番です。そのフェーズを十分楽しんで、チリに興味がわいてきたら好奇心の翼を広げてみましょう。
世界的な流行を見せるクールクライメイト(冷涼)・シラーやピノ・ノワールは、フランス的なエレガンスさを持ちながらも親しみやすく、アメリカ・ウェストコーストのリッチな果実感をも軽やかに楽しめる、世界のどこかなのだけれどもどこでもない感覚になるユニークなワインです。またプティ・ヴェルドをはじめとするボルドー系、白でいえばシャルドネ、マスカット・オブ・アレキサンドリアも実に美しく、でもとても愛らしく、親しみやすいワインたちです。他にも、昔はチリでは一般的だったもののしばらくマーケットからは消えていた素朴で華憐な品種のブドウ・バイスも、復活の兆しがあります。
わくわくする話でいえば、特筆したいのがカリニャンというブドウ品種を巡るチリのワインメイカーたちの挑戦。元々は地中海沿岸のブドウで、メインというよりはブレンドでいい仕事をしてくれるサポート役と思われている品種です。チリでは、超大手ブランドから一人だけの極小ワイナリーまで、同じ立場でこのカリニャンを育て、表現しようというムーヴメントがあり、それを代表するプロジェクト『VIGNO』というグループが立ち上がっています。彼らはオープンマインドで情報を共有しあいます。「ワイナリーの大小は関係ない。大手を渡り歩いて活躍して独立した人もいるし、同じオーガニックのコンサルタントのもとで取り組む同志もいるし、僕らの関係は常にオープンで近くにあるんだよ」と、ワイナリー間の壁のなさを当たり前のように語りあいます。
オーガニック同様の原点回帰と進取の精神に加え、笑顔のオープンマインドによる、チリらしいブドウの育成は、今、静かな熱気とともに広がりを見せています。

今どきのチリワイン。ここに注目!~「カルメネール」から伝わる大地の力~

チリでは数々の素晴らしいワインが生まれていますが、今回紹介するのは、世界に誇るチリの名門にして世界最大規模のワイン企業である『コンチャ・イ・トロ』です。チリの最高峰ワインのひとつである『ドン・メルチョー』から『カッシェロ・デル・ディアブロ』、安くて旨いという日本におけるチリワインのイメージを確実なものにした『フロンテラ』『サンライズ』といったデイリーレンジまで、多彩なワインを世界中に送り出しています。その核となるのはやはり卓越のカベルネ・ソーヴィニヨンですが、今回の旅で強く印象に残ったのが、カルメネールでした。冒頭に紹介したブドウたちよりも一足先にチリの魅力的なブドウ品種として世界に広がりつつあります。
『コンチャ・イ・トロ』の各シリーズにこのブドウにフォーカスしたワインがあり、中でも年間1500ケース、2003年の初リリースから8番目のヴィンテージとなる「カルミン・デ・ペウモ 2014」には驚愕しました。ピュアさと複雑さのコラボレーション。スムーズな飲み口から徐々に深くなるにつれて感じる清らかなミネラルと、土の中でエネルギーを溜め込んでいる黒と赤の果実たちの競演。余韻は複雑ですが、決して重すぎはしないし、飲む人とワインとの間に壁を作りません。優しさと親しみやすさをエレガントに。

 

今どきのチリワイン。ここに注目!~「カルメネール」から伝わる大地の力~

ただこのアイテムは日本では2万円越えとお値段も立派。そのエッセンスを味わうバリュープライスのシリーズが『TERRUNYO(テルーニョ)』です。こちらのカルメネールは、ダークチョコレートとフレッシュオレンジ。相反する要素が見事に溶け込みながらも、堅苦しくなく、楽しく会話が弾み、さまざまな食に寄り添ってくれます。
ワインメイカーのマルシオさんが語るのは大手としての責任。「大規模な会社だからこそ投じられる資本やリソースがあって、それは私たちだけのためにすることではなく、チリでワインにかかわるすべての人たちのためでもあるんです」。チリがもっと世界に声を上げていいカルメネール。名門が切り拓いていきます。

今どきのチリワイン。ここに注目!~「カルメネール」から伝わる大地の力~

※掲載情報は 2017/12/14 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岩瀬大二

ワインナビゲーター

岩瀬大二

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。

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