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長野ワインの8割を手がけるぶどうの名産地・塩尻
塩尻はぶどうの郷です。
そして、上質なワインの産地でもあります。
塩尻のブドウ畑の標高は高いところで850m。火山灰質の水はけのいい土壌で、日照時間が長く、寒暖差もあって、ワイン用ブドウの栽培に適した土地。
現在、塩尻には9つのワイナリーがあります。長野県産のワインの8割は、ここ、塩尻で造られたものです。
今回は、ちょうど収穫の繁忙期だったため、ワイナリーの取材は無理。
せめてブドウ畑の撮影をと、塩尻市・桔梗ケ原にある「林農園・五一わいん」を訪ねました。
県内最古のメルローの古木が生み出す奇跡のワイン
ワイン用ブドウがちょうどたわわに実る時期。黒ブドウ、白ブドウなどが見渡す限り広がります。
「五一わいん」は、長野県で最も古いワイナリーです。明治44年に創業者・林五一さんが桔梗ケ原でブドウ栽培を開始し、大正8年にワインの醸造を始めました。
今はシャルドネ、メルロー、コンコード、ナイアガラなど、約10種類のブドウを育てています。
主力はメルロー。今や桔梗ケ原を代表する品種ですが、昭和27年に現社長の林幹雄さんとお父様の五一さんが、山形のワイナリーから持ち帰ってこの地に植えたのが始まりでした。
敷地内には、樹齢60年を超える県内最古のメルローの古木があるというので、さっそくブドウ畑へ。
すると、小柄なおじいちゃんが、ブドウ畑の真ん中にある山小屋風の家からひょっこり出てきて、周辺のコスモスを摘み始めました。もしかして? と近寄っていくと、それは御年89になる、現役の林幹雄社長さんでした。
お会いしたいと思っていた方でしたので、思わず両手で社長の手を握りしめてしまいました。その後、古木のところまで案内してくださり、説明してくださいました。「このへんはとても寒くて、木が凍ったんです。この木の幹の真ん中が空洞になっていますが、これは凍害で細胞が死滅してできた隙間です。真ん中は凍っても、この木は生きたんですね」
この一本の木から、ブドウ20キロ、ボトル20本分のワインが造られています。還暦のメルローは凍って木の真ん中が大きく縦に割れた姿のまま、ブドウを実らせる。ブドウの生命力ってすごいな。そして、メルローよりはるかに年上の林社長は、まるで、ブドウの精みたいな存在感で今日もブドウ畑の世話に出ています。
こんな素晴らしい出会いがあった五一わいんから、「エステートゴイチ メルロー」をご紹介します。味わいは、カシスや黒いベリー系の風味に、黒胡椒のニュアンスも。
そしてきりりとした酸味があり、タンニンはまろやか。和食にもよく合うと思います。和食に塩尻のメルロー。ぜひお試しを。
※掲載情報は 2017/10/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードカルチャープロデューサー
博多玲子
東京生まれの東京育ち。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業。
なんとなくポルトガル語学科に入ったのと同様、大手出版社に入社。仕事をしてみたら、編集の仕事の面白さに目覚め、『LEE』『Marisol』などの創刊に携わる。以来、長年女性誌、ビジネス書などの単行本の企画・編集を手がけた後、独立。担当範囲は、食、住、旅など。
現在は、書籍や雑誌の企画編集ライティングを手がけるかたわら、玉川高島屋・玉川テラスにてエディターの目線で面白いテーマを取り上げる「博多玲子サロン」で、セミナーをほぼ毎月開催。
個人的には、人気シェフのお料理教室や、「ぐうたら料理サロン」にて自身の料理教室や食事会を不定期開催。また、企業のアドバイザーなども手がける。
今まで地方にたびたび取材や旅行に行き、素晴らしいものが埋もれていることを実感。これからは本当に役立つ地方活性に力を入れていきたい所存。
手がけた書籍:
『タニアのドイツ式整理術完全版』(集英社)
『ザ・サンドイッチ・レシピ』『HOME PARTY 料理と器と季節の演出』(世界文化社)
『りんごLovers』『まいにち、パン。』(主婦と生活社)など