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ハロウィーンのルーツはアイルランド・ケルト伝統のサウェン!
ハロウィーンが近づくと、街のあちこちにカボチャをくり抜いて作った「ジャック・オー・ランタン」やオバケのモチーフがみられ、当日は仮装してパーティーにくり出すなど、日本でもここ数年、イベントとして楽しむ習慣が定着してきました。ところで、皆さんはこのハロウィーンという習慣がどのようにして始まったか、ご存知ですか?
実は、ハロウィーンの発祥はアイルランド・ケルト伝統の「サウェン」にルーツがあります。古代アイルランドのケルト人は1年を季節の移り変わりともに4つに分け、移り変わるタイミングを祭りとして祝っていました。
その祭りの中でも最も重要とされていたのが、10月31日から11月1日にかけて行われていたのが「サウェン」と呼ばれる祭りです。ちょうど明るい夏の季節が終わり、暗く厳しい冬の季節に向かう境目。かつて、ケルト暦では、1年の終わりを10月31日、新年を11月1日に迎えていました。
「サウェン」には、明るい太陽をたっぷりとあびた農作物や落ちた木の実などはすべて収穫されました。新しい年を迎えるための準備です。そんな豊かな恵みを振る舞い新しい年を迎える準備を行うのです。
長く厳しい冬の季節は、すなわち「死」を意味するとされていましたが、同時に新しい生命が誕生する瞬間です。そんな「生」と「死」の境目が無くなるタイミングがこの「サウェン」の祭りだったのです。
ケルトの人々が大切に守り伝えてきたこの「サウェン」を迎える精神が伝えられ、形を変えながら、今のハロウィーンという行事に結びついています。
そんなハロウィーンのルーツをもっと広く知ってほしいと、アイルランド大使公邸にメディアなどを招待し、アイルランド&ハロウィーンセミナーが開催されました。
冒頭、アイルランド駐日大使アン・バリントン閣下からは、日本でも定着してきたハロウィーンの習慣をきっかけに、アイルランドの歴史を知り、もっと知るきっかけにつながって欲しいと話がありました。
続いて、アイルランド伝承文学研究家の渡辺洋子さんからケルト文化のサウェンについて、特別講演が行われました。
また、アイルランド出身でライターのJJ O’Donoghueさんからはアイルランドをはじめとする世界のハロウィーンについて、現代までの移り変わりが説明されました。
セミナーが終わった後は、アイルランド伝統のハロウィーン料理が紹介され、招待された人はその伝統の味を楽しみました。
アイルランドでは、ほとんどの家庭でハロウィーンにはレーズンの入ったパンのようなお菓子「バーンブラック」を用意します。実はこの「バーンブラック」には、中に「プレゼント」を隠し焼き上げるという伝統があります。
子供達は毎年、そのプレゼントが当たるのを楽しみにしています。中に入っているものは「指輪」、「コイン」、「指ぬき」、「ボタン」など様々ですが、どのプレゼントが当たるかで、将来を占うことができると言われています。中でも「指輪」については、「来年結婚をする」という意味があり、幸運の象徴として、ほとんどの家庭で入れられています。
バターをたっぷり塗って、大きく一口。もし、そこに指輪が入っていたら……と楽しみになるお菓子です。
アイルランドの家庭料理と言えば、マッシュポテト。普段の食卓にも並ぶ不動の人気を誇るメニューですが、ハロウィーンの食卓には「コルキャノン」というのが定番です。コルキャノンとは、マッシュポテトに茹でたキャベツやケールを加えたもので、クリーミィなマッシュポテトに、シャキッとした食感のキャベツが加わりアクセントになります。キャベツの持つ自然な甘味がバターとクリームに加わり、シンプルなマッシュポテトよりも味わい深くなり、これだけでご馳走になります。
他にも、ハロウィーンでよく食べられる料理の一つに「ベイクドハム」があります。こちらは大きなハム塊の表面に蜂蜜とマスタードを塗って焼き上げたもので、薄くスライスして食べます。蜂蜜の甘味とマスタードの香りがほのかに移り、ハムの美味しさを引き立てます。蜂蜜にコーティングされ、柔らかく焼き上げられたベイクドハムはアイルランドでも人気のメニューです。
もちろん、ハロウィーンといえばスイーツも欠かせません。ゲストの方にパーティーを楽しく過ごしていただくために、ちょっとサプライズなお菓子はいかがでしょうか?
こちらは、その名も「チョコレートの目玉」。見た目はかなり怖いですが、食べると甘いチョコレートのお菓子です。しっとりとしたクッキー生地を丸めてホワイトチョコレートでコーティング。仕上げに、赤のチョコレートで血管をブラックチョコレートで瞳を描いています。ちょっとびっくりしてしまいそうなお菓子は、子供達はもちろん、大人の方にも楽しんでいただけるスイーツです。
一方こちらは、思わず「可愛い」と言ってしまいそうなお菓子、「メレンゲオバケ」。固く泡立てたメレンゲにチョコレートでオバケの顔を書いています。サクッとした食感で、いくつも食べたくなってしまう。ハロウィーンらしいメレンゲのお菓子です。
こちらは、その名も「赤い血のマフィン」。アイシングとカラフルなチョコレートでトッピングして可愛く仕上げています。インパクトのあるカラーマフィンはパーティーの盛り上げ役にもなってくれます。
そして、パーティーには美味しいお酒も欠かせませんが、伝統的なハロウィーン料理に合わせたい飲み物と言ったら、黒ビールを代表するアイルランド発祥の「ギネス」。ギネスは1759年に誕生した歴史あるブランドです。クリーミィな泡となめらかな喉越しで、世界150カ国以上で親しまれ、アイリッシュパブなどには欠かせないビールです。ハロウィーンパーティーでも様々な料理に合わせて楽しんでいただきたいビールです。
※掲載情報は 2017/10/11 時点のものとなります。
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キュレーター情報
アイルランド大使館
アイルランドは、北大西洋のアイルランド島にある立憲共和制国家です。北東に英国北アイルランドと接し、首都はアイルランド島中東部の都市ダブリン。アイルランド人にとって無くてはならないものは「じゃがいも」ですが、牧畜業が盛んなため、乳製品や肉、その加工食品が多く食されています。また、海に囲まれ、豊富な魚介類が取れる事から、特に西部では、シーフードを中心とした料理に定評があります。パブで味わう黒ビールとオイスターは、まさにベスト・マリッジです!近年の経済発展と共に海外の食文化も取り入れられ、伝統料理と組み合わせた多くの創作料理で外食産業を賑わせています。また、紅茶の消費量は世界一、ビールのスタウトが多く作られてます。ナショナルカラーが緑というほど、緑に愛されているアイルランドの食文化を通じて、少しでも皆様がアイルランドを身近に感じていただければと思っております。