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東海道・蒲原宿の「志田醤油」
東海道を歩いていると、旧宿場町のあたりでたくさんの美味しいものに出会います。ど~しても見逃せない現代の名物ともいえる数々。ちょっと寄り道してご紹介しましょう。
今回は、東海道五十三次の15 番目の宿場、蒲原(かんばら)宿、志田邸の「志田醤油」です。
東海道五拾三次之内_蒲原_夜之雪
作品名 東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪
絵師 歌川広重
しんしんと降る雪の中、身をかがめて急ぐ人々。自然と人の関わりを見事に描いた東海道五十三次の中でも最高傑作と言われる作品。
歌川広重による名作「蒲原夜之雪」の舞台として描かれた蒲原は、江戸時代、大名が宿泊する本陣が1軒、脇本陣2軒、武士や庶民が宿泊する旅籠屋が45軒あり大変な賑わいを見せていました。
およそ1kmからなる蒲原宿には本陣跡や旅籠屋、大正時代の洋館などが並び、当時の宿場の面影が今なお色濃く残っています。
東海道と中山道のコラボ醤油
蒲原で最も古い建物の志田邸(国登録有形文化財)。
現在は東海道の宿場で唯一、当時のまま現存している初期の工場として、志田家の8代目(志田威氏)が「東海道町民生活資料館」として公開している。
その志田邸は、安政の大地震の翌年(1855年頃)に建てられた町屋です。志田家は、屋号を「やま六」といい、江戸時代から昭和初期まで醤油を醸造していました。2015年、徳川家康公顕彰四百年を記念し、東海道と中山道交流のシンボルとして約90年ぶりに復刻したのがこのお醤油。
志田邸・東海道町民生活歴史館(静岡市 館主:志田 威氏)と「ちこり村」歴史館(岐阜県中津川市 運営会社:サラダコスモ)とのコラボ商品として発売されました。
※中山道
中山道は江戸時代の五街道のひとつで、京と江戸を結んだもの。木曽を通るので江戸時代には「木曽街道」や「木曽路」とも呼ばれた。
木曽海道六拾九次之内_中津川
作品名 木曽海道六拾九次之内 中津川 (雨の中津川)
絵師 歌川広重
木曽海道六拾九次之内_中津川
作品名 木曽海道六拾九次之内 中津川(晴れの中津川)
絵師 歌川広重
広重の「木曽街道六十九次」の中の通称「雨の中津川」と「晴れの中津川」。
特に「雨の中津川」は世界に数点しかないと言われる貴重な一品。
木曽海道六拾九次之内_赤坂
作品名 木曽海道六拾九次之内 赤坂
絵師 歌川広重
ラベルは「やま六」の屋号に桜と麦、大豆の絵柄を当時のまま復刻したレトロなデザイン。お醤油は岐阜県大垣市の醸造会社が有機栽培した丸大豆を杉の樽で長期醸造、水は家康が関ヶ原の前夜に宿泊した中山道・赤坂宿に近い水都大垣の名水を使っているそう。豆大豆特有のほのかな甘味と芳醇な香りを兼ねそなえた、深い味わいのお醤油です。
志田醤油は志田邸(東海道町民生活歴史館)で購入できます。
蒲原宿の往時の佇まいを見ながらゆっくりと歴史の息吹を味わってみてはいかがでしょうか。
※掲載情報は 2017/10/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
学芸員/栄養士
大森久美
栄養学を学んだ後、武蔵野美術大学卒業。芸術学士、学芸員資格を取得。2006年特定非営利活動法人ヘキサプロジェクトを設立。2010年より現地法人ヘキサプロジェクト・ロンドン・リミテッドディレクター。美術館のキュレーションを行うかたわら、アート/デザインのワークショップなどの教育普及や、地方で伝統の技を守り続ける職人達との商品開発にも精力的に取り組む。日本文化の奥深さを伝えることをミッションに、食とアートのスペシャリストとして日本の美意識を国内外に発信中。