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冷めても美味しいごはん
美味しい米といえば、米どころ、新潟!というイメージが強いですが、
私の愛する米は、富山県のコシヒカリ「医王の舞」という米です。名前の由来は、地元にそびえる医王山に由来しています。この山には、薬草が多いことから命名されたそうです。
今年は夏の天候不良により、全国的に米の収穫が少なく、品質も良くないと聞いていますが、毎年、自然現象にすら影響を受けないのが「医王の舞」の特徴のひとつでもあります。
それは、土作りや稲にストレスを極力かけない育て方をされているからです。
私と「医王の舞」の生産者である吉田稔さんとの出会いは、1989年の秋、ある収穫祭のケイタリングを依頼されたことがきっかけでした。
主催から持ち込まれたのが「医王の舞」で、お稲荷さんとおむすびを作ったのですが、それまでに食べた米の味はなんだったの?と思う程の味わいでした。あまりの美味しさに吉田さんを訪ねました。作業場の地下に足を踏み入れた途端、
発酵マニアの私でもびっくりするような強烈な発酵臭が立ちこめていました。それは「ポーマン」という、いわしアミノ酵素の仕込み場だったのです。
その正体は、
「いわし」に水溶性ケイ素を混合し、発酵熟成させたもので、ぬか床やくさやに近いけっして嫌な臭いではないけれど、忘れ得ぬ臭いでした。これを堆肥として使っていることが「医王の舞」の美味しさの秘密だったのです。
田んぼを訪ねると、吉田稔さんが稲の葉が空に向かってとんがっているさま様を指差し、
「これは、宇宙のエネルギーを集めている証拠、稲の葉がアンテナなんだよ」とさりげなく。「えっ?稲にアンテナ?」
「医者の舞」の米作りは、月の満ち欠けや、自然の流れに沿って毎年作られる農事暦「種まきカレンダー」(ピリオ・ドーニ著)に基づき、田植えや施肥をされていることを聞き、「ストレスをかけないようにすることが米や野菜作りで大切」、「今の野菜はストレスだらけ」という意味が分かる気がしました。
見かけはキレイな野菜も、ストレスを感じて作られたものは、栄養価はもちろんのこと、
美味しくもなく、食べて元気にもなれない。そんな野菜が増えている気がしています。
お米は、かつてはコシヒカリが人気でしたが、最近は、全国各地で「はえぬき」、「ゆめぴりか」、「どまんなか」、「晴天の霹靂」まで様々な品種や銘柄が店頭に並んでいます。
タカコの米選びルールは、「冷めても美味しい」です。炊きたての米は、そこそこ美味しくてあたりまえ当たり前。
炊飯保温ジャーが当たり前あたりまえとなり、おひつを使う人も激減しております。でも、ご飯は、冷えてその真価が問われます。
私の運営する料理教室では、創業以来ずっと「医王の舞」が公式米です。
現在は、息子の吉田剛さんが後を継がれて、医王の舞のおかきも販売されており、これがまた、とっても美味しいのです。
今年も、田植えが終わり、そろそろ「医王の舞」の新米が届く時期。玄米にしようか、白米を炊いてみようか、食べて旨し、贈って喜ばれる米の王者。
最後に、「医王の舞」の袋に描かれているのは、地元生まれの河内屋玄親齋氏の版画「みんなのお腹が空かない物語より」です。
医王の舞の原稿を書くだけで、お腹が空いてきました。
※掲載情報は 2017/09/27 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理家/フードディレクター
タカコナカムラ
山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚める。
日本の伝統食・発酵食、乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発や、オーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコ・ナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)では、
「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」
「AGEフード・コーディネーター」など食と美や健康に関する講座を多数監修。
一般社団法人ホールフード協会 代表理事