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琉球王朝伝統の銘菓
関東地方の暑さも日に日に厳しくなってきましたが、暑い夏を一足早く迎える沖縄に先日、出張して参りました。
4月に行われた沖縄宜野湾市で行われた「いけばなインターナショナル世界大会」。49の国と地域から会員が参加し、日本を代表する流派代表者によるデモンストレーション、作品展示、ワークショップなどのプログラムが組まれ、「花を通しての友好」を目的として5年に一度開催される華やかな大会です。
私も広山流沖縄支部の皆さんの強力なサポートのおかげで、開会式の舞台花では「春の日本へようこそ」の気持ちを込めて3種類の桜を使った大作を、花展では南国らしくグァバの木や翡翠カズラという珍しい植物を使った作品を披露することができました。
今回はそんな沖縄の地で手に入るとても貴重な伝統菓子「橘餅(きっぱん)」をご紹介したいと思います。「きっぱん」を知ったのは、今回お世話になった沖縄支部の方から頂いたのが、きっかけです。
真っ白い砂糖にくるまれた丸いおまんじゅうのような形で、香り高い沖縄ならではのみかんなど、かんきつ類を使って作ったお菓子です。切り分けると、中は鮮やかな黄色。良く見ると緑色の皮も見えます。口の中に入れるとその爽やかな芳香がひろがり、南の国特有の力強く、清々しい香りに満たされます。
きっぱんは300年ほど前に中国から沖縄に伝えられたお菓子。その長い歴史に驚きました。琉球王朝時代には献上品として届けられるなどたいへん由緒あるお菓子です。
また、同じ献上菓子として、冬瓜漬も供されていました。あめ色の切り口が美しいこちらの冬瓜漬も同じく長い歴史を持っています。これらの貴重なお菓子が一般の人でも口にできるようになったのは明治以降ということで、どれだけ珍重されてきたかが分かります。
きっぱんを扱っているのは沖縄県でも那覇市にある謝花きっぱんの松尾本店のみですが、お取り寄せもできるので、ぜひ、伝統の味を皆様にも味わっていただければと思います。
※掲載情報は 2017/07/16 時点のものとなります。
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キュレーター情報
広山流第四代家元
岡田広山
幼少より伯母である三代家元に手ほどきを受け、大学卒業後、社会人生活を経て2000年に副家元を、2004年に四代家元を襲名。2010年には創流100周年を記念した花展と祝賀会を開催した。
初代より受け継がれる「自然の姿を大切に」の精神を守りながら、若手いけばな作家として、また母としての視点から、「今、いけばなにできる事」を信じていけばな界の発展の為に活動している。
現在、聖心女子大学・聖心女子学院でのいけばな指導の他、公益財団法人 日本いけばな芸術協会 理事、一般社団法人 帝国華道院 理事、いけばな協会 理事、港区華道茶道連盟 副理事長を務める。