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お気に入りの"モノ”に囲まれて生活をする。そして、そのお気に入りは自らの手で作る。そんな生活・ライフスタイルを実践しているご夫婦の紹介からはじめます。中央線沿線の中野の閑静な住宅街にあるシンプルな一軒家「アトリエ・フォーク」は、切り絵作家のご主人YUYAさんと食のアトリエ・スパロウ主宰をしているスパロウ圭子さんの活動の場。夫唱婦随というもはや死語になっている(笑)言葉の似合うご夫妻なのです。
天然酵母のパンとお菓子とジャムの教室を開催しながら、手づくりのジャムやご主人の切り絵のポストカード等の販売もしているのです。月に1回アトリエをオープンしている第1土曜日にお伺いしました。グレーの壁面アトリエ・フォークの鳥のロゴマークが目印で中に入ると小さなキッチンとカウンターがあり、左手にはYUYAさんデザインのグッズが展示販売されています。今回購入したものは「Sparrow(いちごとラズベリー)」、「Wink(ブルーベリーとキルシュ・サクランボの洋酒)に「Shine(マーマレード)」の3種です。春から夏、秋から冬と季節に合わせて10種類以上作っており、通年「Tropical(パインとキウイ)」があります。ジャムはちょっとゆるめで、ヨーグルトともよく融け合わさり、パンに塗っても程よい甘味で優しい味なのです。YUYAさんの瓶のラベルとスパロウ圭子さんのジャムの味のハーモニーが見事な「逸品」になっているのです。
また、アトリエの上のプライベートスペースにある国内や世界中から集めたフォークアート(民芸)のコレクションには圧倒されました。アトリエ・フォークのHPから少し引用させていただきます。「日本各地の窯元を訪ねて集めた民芸の器。素朴で愛らしい世界の民芸品や日本各地の郷土玩具。大好きな民芸品とともに私たちは暮らしています。素朴な民芸品に楽しい影響を受けながら、手の跡がたしかに残る自由な絵や自分らしいデザインを生みだす。母がつくってくれたような素朴な風合いの焼き菓子や大切につくる食事を訪ねたつくり手を思い出しながら民芸の器でいただく。自分たちの手で何かを作り出して楽しむ。」さらに、「それは暮らしの楽しみそのものだと私たちは考えています。そんな日々を過ごすうち、私たちはアトリエを開くことを思い立ちました。アトリエ・フォークのFOLKという言葉には、私たちが大好きなfolk craftやfolk art(=民芸)という言葉に使われるだけでなく、「人々」という意味があります。peopleというよりは、私たちの活動や作品に共感してくださった仲間たちというニュアンスかと思っています。アトリエ・フォークは、そんな仲間たちの日々がワクワクするような、大らかで楽しい食やアートのある暮らしを発信していきたいと考えています。皆さんとともに楽しい時間を共有できたらとても幸せです。」と。
とても個人的にも共鳴出来る内容でご興味ある方は「http://atelier-folk.com/」をご覧ください。現在一緒に商品開発を「365日」、「15度(ジュウゴド)」のオーナーの杉窪章匡さんと行っていて、昨年はブレッドナイフを作り今年はバターナイフを検討中です。その杉窪さんと話していた時に、作り手と買い手を繋ぐものは何かという話になりました。人は物を購入したりする時に、物自体の品質は当然重要視するが、価格に関しては安い高いということに関しては別の要素が働くと。それは、物を作っている発信者に対しての「思想の共鳴」なのだと。20数年前にバブルが弾けて、日本人のライフスタイルはずいぶん変わったと思います。アトリエのオープン日にはその「思想・ライフスタイル」に共鳴された方々が多く集まっていました。フォークは各一大量生産に対してのある意味でのアンチテーゼですが、この文脈の流れは心地よいのです。毎日の生活にゆとりを持って暮らしてみたいと思いアトリエをあとにしました。
※ジャムは第1土曜日のオープンアトリエ時のみ販売しています(ただいま通販は準備中)。
※掲載情報は 2017/06/16 時点のものとなります。
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キュレーター情報
アートディレクター・食文化研究家
後藤晴彦(お手伝いハルコ)
後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。