一圓 肉まん
吉祥寺 一圓本店
「肉まん、買っていかない?」
吉祥寺の井の頭公園を散歩しようとした矢先、
彼女がこう言いました。
「肉まん?なぜ?」
と思う間もなく、風情のある建物に前にある
保温機に入っていた肉まんを買ってきたのでした。
雨が降っていました。例年なら汗のでる季節なのに、
雨のせいで少し涼しくもありました。
肉まんを受けとると、指先に温かさが伝わる。
同時に、ふわっと独特に甘い皮の香りがする。
昔訪れた台湾の情景がふっと頭い広がりました。
吉祥寺一圓。餃子も肉まんも大きいことで有名。
その大きな肉まんの喰らいつくと、頬の回りまで
ほっと温かくなって実に幸せな気分になれます。
肉まんは中の豚の味で勝負が決まる気がします。
たくさん詰まっている方がおいしいように見えます。
それは違うと思う。皮のもちもちさ。あまさ、温かさが
あって、そこにジューシーな肉があるから上質な味わいに
なるんです。
一圓の肉まんを食べながら新緑の公園の空気を吸う。
全部食べて肉まんが指から消えてしまうと、
その温かさがもう恋しい。
横を見ると彼女はまだ、大きな肉まんと格闘して
いました。
尚、一圓の肉まん、あんまん、餃子類のテイクアウト
専門店に「篭龍」があります。そちらにもぜひお越しください。
住所:武蔵野市吉祥寺本町2−17−2
電話番号:0422-22-5919
吉祥寺 一圓本店
※掲載情報は 2017/06/04 時点のものとなります。
スピーチライター/コラムニスト
ひきたよしあき
(株)博報堂で、広告クリエーターとして働くかたわらで、「朝日小学生新聞」などにコラムを書いています。出張、撮影、講演で全国を回りながら、おいしいものを送ったり、頂いたり。誰かに何かを送ろうとする時、そこに素敵なエピソードが生まれます。高い安い、有名無名に関わらず、できればその一品にまつわる物語までお伝えしようと思っています。皆さんからの情報もお待ちしています。主な著書「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)