心太(ところてん)
大野屋こんにゃく店
こんにゃくは、美容に俄然、注目をされるようになりました。こんにゃくに含まれている「セラミド」は、肌のうるおいを保つようで、こんにゃくといっても何でもよいわけではなく、生芋から作るこんにゃくにセラミドも多く含まれています。
埼玉県本庄市の大野屋の社長は、根岸良幸さん。通称、よっちゃん。(以下、よっちゃんで失礼します~)よっちゃんのこんにゃくは、下仁田町の自然農法・無農薬のこんにゃく芋を使用。それだけでも評価に値します。というのも、こんにゃく芋ほど、厄介な野菜はありません。こんにゃく芋って、虚弱体質。畑に植えた種芋は、冬の寒さに弱いので、掘り出して、温かい納屋で寝かせ、また春に畑に返し、そしてまた、冬に掘り返し、納屋で越冬。そうして出来たものがこんにゃく芋。害虫や病気にも弱いため、土壌洗浄をしなければならない程のひ弱。だから、こんにゃく芋の無農薬栽培は大変な苦労があります。
そんなレア原材料を使い、缶蒸し法という手間隙かけてこんにゃくを製造されています。手練りに近い形なので、凝固剤が限りなくすくないので、さしみこんにゃくは、ツルっと、口でとけます。
よっちゃんの店の夏の名物が「心太」です。正倉院の書物に「心太」と記されていたという程、古い日本の伝統食材です。テングサを煮溶かして「凝る(凝固させる)」作業から、「ここる」「こる」と呼ばれるようになり、やがて「心」の字があてられ、「太」の字は「太い海藻」を意味したと伝えられています。「こころたい」、「こころてい」、「こころてん」から「ところてん」に落ち着いたらしいです。ほんまかいな~~~~!
江戸時代、心太は庶民のおやつとして人気がありました。冷蔵庫も冷凍庫もない時代、カラダの熱をとる食養生素材として「心太」が使われてきました。東北・関東では酢醤油で食べるのが主流ですが、関西では黒蜜をかけて食べます。葛切りと間違えているんじゃないのかな~と思うのですが。
私は、酢醤油派。よっちゃんの心太には、京都の無添加・三倍酢と京の七味がちゃんと付いています。よっちゃんの製品のおまけの調味料は全て無添加。しかも、それを自慢しないのがよっちゃんの美学。ミニフォークまで添えてあるので、行楽や飲み屋の帰りにも便利ったらありません。心太こそ、素材の味と職人の技のみの結晶です。太さと硬さ、微妙に違います。よっちゃんの心太、バランスが素晴らしいのです。心太も寒天も原料はテングサ。よっちゃん曰く、心太もそのまま食べるのではなく、中華サラダや冷麺や冷製パスタとして使うと、うんとバリエーションが広がりますね。
住所:埼玉県本庄市栄2丁目12−5
電話番号:0495-24-3330
大野屋こんにゃく店
※掲載情報は 2017/05/27 時点のものとなります。
料理家/フードディレクター
タカコナカムラ
山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚める。
日本の伝統食・発酵食、乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発や、オーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコ・ナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)では、
「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」
「AGEフード・コーディネーター」など食と美や健康に関する講座を多数監修。
一般社団法人ホールフード協会 代表理事