北限の香り高い柚子を使った陸前高田の”ゆず塩”

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皮が厚い分酸味と香りが強いのが特長のゆずで作った「ゆず塩」

北限の香り高い柚子を使った陸前高田の”ゆず塩”

地球温暖化のせいで、昔は栽培に適していない作物が北上しているらしいのです。今回はそんな作物を加工した調味料の紹介です。

 

東日本大震災で甚大な被害を受けた地域に陸前高田市があります。ここは、”柚子”が収穫される北限だそうです。元々柚子の産地は暖かな地域が多いのですが、柑橘類の中では耐寒性が強く、寒い地域でも自生できる数少ない種なのです。その柚子で作られた調味料「北限のゆず塩」は上野駅構内で開催された「三陸の物産フェア」を見ている時に「北限」という文字に引かれて買ったものでした。NHKの朝ドラで人気だった「あまちゃん」も”北限の海女”というキャッチで、なぜか、この北限という言葉に反応するのです。

 

柚子は、柑橘類に多いそうか病やかいよう病への耐久があるため、ほとんど消毒の必要がなく、他の柑橘類より手が掛からないこと、無農薬栽培が比較的簡単にできる利点も特徴のひとつなのです。震災の翌年に陸前高田を仕事で視察したことがあります。その時は海岸に近い地域のりんご園を訪れたのですが、潮風によく当たっていた場所で内陸でのりんごとは随分違う味なのでした。

北限の香り高い柚子を使った陸前高田の”ゆず塩”

この北限の柚子の栽培地も寒暖の差はありますが、比較的平地で暖かな地域で栽培されるものでした。

 

元々柚子は小振りの品種が多いですが、陸前高田のものはさらに小さくて皮が厚いのです。皮が厚い分、酸味と香りが強いのが特長なのです。この柚子とさらに岩手の北にある野田村の手作り塩「のだ塩」を合わせたものが「陸前高田産北限の柚子・ゆず塩」なのです。製造している場所は陸前高田の知的障害者を対象にした社会福祉法人 燦々会“あすなろホーム”なのです。このあすなろホームの現在入居者は10代から70代まで約45人おり、そのうちの8名ほどの方々が「ゆず塩」作りをしているのです。ネットで見ただけでは判らないので直接電話で「ゆず塩」の話を聞いてみました。

 

商品の加工レシピは盛岡の料理研究家の小野寺惠さんが指導しております。小野寺さんは、東京のコルドンブルーで学ばれた後に、「イル・プール・シュル・ラセーヌ」の弓田亨さんや今田美奈子さんに師事してパン作りや菓子作りの修行をされたそうです。柚子の収穫は年によって変動しますが、10月末から12月までで、大体9トンほど穫れます。この柚子を”あすなろホーム”で洗い、選別をして手絞り果汁を搾るのです。絞った果汁は、同じ岩手で「南部美人」で有名な酒造メーカーに運ばれて糖類無添加「ゆず酒」として販売されているのです。この後に絞った残りの柚子を、手間をかけて皮の部分のみを選別してみじん切りにして乾燥させます。この段階で8キロの柚子の水分が抜けて800グラムに減ります。さらにミキサーで何度も粉末状になるまで粉砕して、「のだ塩」と合わせ完成します。

 

たんなる加工場の商品ではなく障害のある方々の支援をしている商品なので、応援したくなりますね。しかも、本当に時間をかけて丁寧に手作りされたものなので美味しく、刺身や天麩羅の付け塩や、浅漬けには重宝しています。以前は海外に行く時に現地で野菜を購入し、即席の浅漬けを作って食べていたのですが、そんなときにもこの「ゆず塩」も活用出来そうだと思ったのです。

 

ただいま、北限の●●に興味があり、今後も北限物を捜しているのです。今調べているのは「北限の柿」ですが、機会があったら紹介したいものです。

※掲載情報は 2016/02/04 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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