色町の近くに美味いものあり
「色町洋食」という言葉は、1951年から68年まで刊行された鶴屋八幡のPR誌『あまカラ』の顧問を務め、同誌の装画も手がけた大久保恒次が、著書『うまいもん巡…
BEAMSクリエイティブディレクター
セレクトショップBEAMSの社長直轄部署「ビームス創造研究所」に所属するクリエイティブディレクター。音楽部門〈BEAMS RECORDS〉のディレクターも務める。執筆、編集、選曲、展示やイベントの企画運営、大学講師など、個人のソフト力を主にクライアントワークに活かし、ファッション、音楽、アート、文学をつなぐ活動を行っている。『ミセス』(文化出版局)、『OCEANS』(インターナショナル・ラグジュアリー・メディア)、『IN THE CITY』(サンクチュアリ出版)、ウェブマガジン『TV & smile』、『Sound & Recording Magazine』ウェブなどでコラムやエッセイを連載中。
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色町の近くに美味いものあり
「色町洋食」という言葉は、1951年から68年まで刊行された鶴屋八幡のPR誌『あまカラ』の顧問を務め、同誌の装画も手がけた大久保恒次が、著書『うまいもん巡…
銀座四丁目今昔
12月から1月にかけての銀座は、特別なムードがあっていい。この時期は、ほかの街も年末年始仕様になるわけだが、銀座のそれは華やかでありつつも上品な印象で…
食べ物の味を拡張する魔法ー谷崎潤一郎「美食倶楽部」
愛食家(美食家ではなく)を自認する人にぜひ読んでいただきたいのは、谷崎潤一郎の「美食倶楽部」だ。谷崎というと、「痴人の愛」や「細雪」、「春琴抄」…
ハロウィンに思うこと
間もなくハロウィンである。近年の日本では、仮装して街をねり歩いたり、ハロウィンにかこつけてパーティーを開いたりといったことがすっかり定着している様子…
東京発箱根経由昭和モダン行き
とくに何ということはないときに、何となく読み返してしまう本というものは、誰しもいくつか思い浮かぶのではないだろうか。わたしにもそうした本は何冊かあ…
菊人形の頃
「わたくしも暫く団子坂へは行きませんが、新聞なぞを見ると、菊細工はますます繁昌して、人形も昔にくらべるとたいへん上手に出来ているようです。しかし団子…
盛夏には水菓子の菓子を
確か高校一年のときだったかと思うが、家での食事の前にフルーツを食べていた時期があった。なんのことはない、当時観た映画に影響されたのだ。 劇場映…
京都で見つけた「涼」と「艶」
梅雨入りした東京を離れて、京都に行った。朝、東京を発ったときには雨降りで、京都も雨かと思えば、よく晴れていた。観光ではないので、雨でもさして困らない…
明烏とあけがらし
先日、作曲家/ピアニスト・中島ノブユキさんの新作アルバム『散りゆく花』の先行販売と演奏会を兼ねたイベントが開催された。私は演奏曲の合間に、楽曲解説的…
「未知の記憶」を呼ぶサイダー
暖かい季節がやってくると読み返したくなるのは「一千一秒物語」だ。稲垣足穂(1900-1977)が17歳頃から書き綴った約200篇の中から68篇を自選し、1923年(大正…
「長屋の花見」の玉子焼き
「花見にねえ……で、どこへ行くんです?」 「上野の山はいま見ごろだってえがどうだ」 「上野ですか? すると、長屋の連中がぞろぞろ出かけて、ただ花を見…
狐の嫁入りといなり寿司
辿り着けない料理屋の話や、画に描いた餅を食べる話、はたまた自宅でロビンソン・クルーソーさながらの無人島生活を強行する話。種村季弘『食物漫遊記』(筑摩…