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あなたの夏はいかがでしたか?
逃げ場のない蒸し暑さ。大合唱のセミの声。突然の雷雨の雨宿り。あまりの熱さに足の裏が火傷しそうになる砂浜。寝苦しくて何度も目の覚めた真夜中。ズンと響く音とともに見上げた大輪の花火……。あなたの夏はいかがでしたか?私がこのブルワリーを訪れた日も、駅からの道のりは、うんざりするほど日差しが厳しい夏の日でした。
うだる蒸し暑さに“もうたくさん!”と夏に嫌気がさしても、見上げた空にうろこ雲が広がる頃になると、なぜか毎年ちょっぴり切なくなる。私はここで、そんな季節の変わり目にぴったりな、ビールに出会いました。
「季節」を感じるクラフトビール造り
それは、千葉・木更津の「ソングバードブルワリー」が造る『Dark Lavender』。このブルワリーは、2015年春に創業した、夫婦二人で力を合わせて造る小さなブルワリーです。原料はなるべく周辺で採れるものを使い、「季節」を感じられるビール造りをしています。
ラベンダーのビールは、木更津市内の有機農園で育つラベンダーを使用。2回目の醸造となる今年は、花よりも葉っぱをメインに使い、使用量をやや少なめにしました。ゴクリと一口飲めば、ココアのようなモルトの甘味とラベンダーの優しい香りがみるみる身体中に広がります。肉料理との相性も良さそうだけど、ビターチョコをかじりながら飲みたくもなるようなビール。飲み終わった後も、ラベンダーの香りが優しく体を包み込み、静かに心も癒されていきます。
住宅街にあるブルワリーでは、定番3種のほかに限定醸造のビールを常に2〜3種類造っていて、ボトルの小売のほか、樽生も3種類その場で飲むことができます。定番ビールはボトルの専用ラベルがありますが、限定ビールは、手書きで書いた銘柄タグを麻ひもで1本1本つけていて、手塩をかけてビールを仕上げていることが、こんなことからも伝わります。
秋向けの仕込みでは、北海道から送られてきた厚岸の牡蠣を、身はお店のお客様とおいしくいただき、残った牡蠣殻を使い、オイスタースタウトを仕込んでいます。
いつしか暑さも忘れ、落ち着き始めた秋の海は、風景を独り占めできるうれしさもあります。週末に房総の海に足を伸ばした時、ぜひこのブルワリーに立ち寄って、「季節」も味わってはいかがですか。
※日本では法令上発泡酒に分類されます。
※掲載情報は 2016/09/11 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト/パンコーディネーター
宮原佐研子
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。