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楊枝に想いを込めた手土産に。珍しい逸話のつまった和菓子
参議院選挙が終わり、各地で熱戦が繰り広げられた。東京のある議員が出馬にあたり密かにお取り寄せしたという和菓子があると聞き、早速行ってみた。それが新潟県上越市かなざわ総本舗の「出陣餅」である。
「出陣餅」は、用途に合わせて楊枝の種類が「必勝」、「寿」、「出陣」と3パターン用意されている。そのため、結婚式や受験シーズンの縁起物としても購入される和菓子。上越市は、戦国時代の名将上杉謙信にゆかりある場所である。餅を将兵に与えて力づけ、決戦に臨んだ謙信公を敬い慕って生まれたのが「出陣餅」なのだ。選挙という決戦のために、取り寄せたのも納得である。
この「出陣餅」は、1個に3つのきな粉のかかったお餅が入っており、黒蜜をかけていただく。ここまで聞いて、他の和菓子を連想しないだろうか。
そう、山梨県「桔梗屋信玄餅」によく似ているのだ。同じ製造機械とパッケージ、黒蜜の容器を使って作られていることは、ほとんど知られていない。「出陣餅」の特徴は、上越市産100%の米を使用し、3種類のきな粉をブレンドした「よもぎ餅」であること。
よもぎには、食物繊維やクロロフィルが含まれており、栄養価も高い。黒蜜をかけてしばらくすると、うっすらと緑色のよもぎが顔を出し、深い緑は夏を思わせる。さわやかな後味で、甘さ控えめ。暑い夏にぴったりの和菓子だった。
「出陣餅」の店頭販売は新潟県内のスーパーや百貨店に限られており、ある意味幻の一品とも言える。ネット通販で発送を受け付けているため、楊枝に想いをこめるお取り寄せの手土産には、おすすめの一品だ。
「出陣餅」の入った「出陣ソフト最中」、「出陣ソフトクリーム」、「出陣どら焼き」もある。「出陣かき氷」は夏期限定で、200年前の一軒家を移築した本店でのみいただくことができる。
「出陣餅」の入った「出陣ソフト最中」、「出陣どら焼き」もある。
夏休み、ドライブで上越市を通った時に、是非本店に立ち寄ってみて。店内の鎧も展示されており、初代郵政大臣から譲り受けたポストが置かれているなど、日本の歴史を感じる「知る人ぞ知る」お店なのだ。
※掲載情報は 2016/07/20 時点のものとなります。
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キュレーター情報
発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー
高橋香葉
「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。
主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等