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ブレタノマイセス酵母とは?
ワインが好きな方なら、ちょっと眉をひそめてしまうかもしれません。ブレタノマイセスは酵母の一種ですが、一般には特にワインの香りに悪い影響を与えるとされていて、いわゆるオフフレーバー(品質劣化による異臭)を発生させるともいわれています。しかし、最近では必ずしも悪影響を及ぼさない場合もあることがわかり、むしろこの酵母によってワインの香りに個性を持たせる事例もあり、いろんな意味で注目されています。悪名高き(?)ブレタノマイセス酵母ですが、その酵母を使って醸造したビール、THE WILD BEER CO.の『Evolver IPA』をご紹介します。
6ヶ月後、酵母が瓶内で煌めきはじめる
このビールは、醸造に100%ブレタノマイセス酵母を使用し、6週間かけて醸造。その手法は今注目のビアスタイル、ベルギーのブリュッセル近郊で伝統的に醸造する自然発酵ビール「ランビック」に通じています。瓶詰めしてから最初の3ヶ月は、他のフレッシュなエールと同じテイストをしています。その後、瓶の中で酵母が煌めきだし、6ヶ月後に「魔法」がかかります。ビールにおいてこの酵母は、他の酵母にくらべてホップのフレーバーを長期間フレッシュに保ってくれるというメリットがあるそうです。IPA(インディア・ペール・エール=ホップを多量に使用したホップの香りと苦味を楽しめるビアスタイル)として大量のドライホップが使用されていても、このビールの味わいはすっきりとしていて、時間を経ることで酵母とホップが結びつき、複雑で特徴ある味わいを紡ぎだしていくのです。
このビールを見かけたら2本入手して、3ヶ月以内と6ヶ月以降に1 本ずつ栓をあけてみてはいかがですか?
貯蔵したボトルの酵母は澱として瓶底に溜まっています。ゆっくりとボトルを廻して酵母を全体にいき渡らせて飲むもよし、酵母が舞わないように静かにそそいで、味わいの変化を楽しむもよし。ひと瓶にこめられた魔法を楽しんでみてください。
※掲載情報は 2016/06/19 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト/パンコーディネーター
宮原佐研子
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。