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スペルト小麦
最近日本でもスペルト小麦が出回ってきました。でも実際どんな穀物か知っていますか?
スペルトは小麦の仲間で古代麦と訳されることもあります。現在の小麦は昔から品種改良を重ねていますが、スペルト小麦は紀元前何千年も前から古代エジプト、中央アジアですでに栽培され、現在もほぼ原種のまま今も栽培されています。
小麦と比べて様々な利点が謳われていますが、その一つが小麦アレルギーの人でも安心して食べられる場合が多いというものです。ただグルテンフリーではないため、グルテンアレルギーの方には小麦同様向いていませんが、ドイツでは特にオーガニック食品、離乳食などに多く利用されています。
ドイツはスペルト小麦の栽培大国
ドイツ語でスペルトはDinkel(ディンケル)といいます。18世紀ごろまでは主要な穀物でしたが、改良された小麦と比べて生産性が悪いため、近代徐々に栽培面積は減っていました。近年また見直されてきており、ヨーロッパの中でも有数のスペルト栽培地がドイツになります。特に南西部のバーデン・ヴュルテンベルク州が盛んです。
その昔12世紀ドイツに生きた修道女聖ヒルデガルトはその著書『フィジカ』の中で、“スペルトは最上の穀物である。力がつき、他の穀物よりも消化がよい。肉づきをよくし、きれいな血を作る。精神を明るくし、快活にする。どのように調理してもよい。”などと書き残しています。
粉はパンや菓子類に多く使われていますが、ローストして穀物コーヒーとして利用したり、ビールも作られています。
最近ではスポーツ選手の間でもスペルトが人気のようで、サッカーのレバンドフスキー選手が食事改善をし、最近通常小麦からスペルトに切り替えたところ調子がよいと言っています。
スペルトブランでお手軽に
スペルト小麦が健康にいいのはお分かりいただけたと思いますが、かと言って自分でパンを作ったりするのは難しいし、スペルト商品も日本ではまだまれ。そこで今回は手軽に食べられるスペルト・ブラン(ふすま)をご紹介します。
ヨーグルトやシリアル、サラダやスープに加えるだけで、簡単に食べられます。細かくさらさらとしているためぼそぼそした食感はなく、ミネラルと繊維質がたっぷりで腸にとてもいい食品です。
※掲載情報は 2016/06/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ドイツ食品普及協会 代表
森本智子
ドイツ在住11年、日本帰国後はドイツ農産物振興会日本事務所にマーケティングマネージャーとして勤務。2010年同団体の解体を機に独立、株式会社エルフェンを立ち上げドイツ食品・飲料の輸入・販売サポート、展示会の出展サポート・コーディネート、ドイツの展示会、会社訪問のガイド・コーディネート、ドイツ食文化セミナーの開催、ドイツの食の情報発信に関わる活動を行っています。
株式会社エルフェン:http://elfen.jp/
一般向けのイベントではドイツ大使館主催「ドイツフェスティバル」の立ち上げ、運営メンバー。
日本ではただひとり、ドイツ ドゥーメンス・アカデミー認定ディプロム・ビアソムリエの資格を持つ。
なかなか日本では知られていないドイツのおいしい物をご紹介していきたいと思っています。
著作:フォトエッセイとイラストで楽しむ ちいさなカタコト*ドイツ語ノート 国際語学社
ドイツパン大全 誠文堂新光社
http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5380