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ドイツといえばビール
ドイツと聞いて日本人がすぐ思い浮かべる物の1つに、「ビール」があるのではないでしょうか?日本の大手ビール会社もドイツへビール醸造を学びに行き、ドイツのビール造り、スタイルを手本にしてきました。
ドイツではビールは昔から嗜好品だけでなく、重要な食糧、栄養源の一つとみなされてきました。「液体のパン」という異名があることからもそれが窺えます。
現在ドイツにはビール醸造所が約1,390存在します。そのうち626もの醸造所が南のバイエルン州にあります。
バイエルン州では独自のビール文化が栄えてきました。醸造所の多さ、オクトーバーフェストなどのビール祭もこの地方の特徴です。
このバイエルン州で生まれたビールに関する法律が、「ビール純粋令」です。
ビール純粋令とは
その昔、ビール造りはもちろん現在とは材料も違えば、衛生面、食糧需給事情などいろいろな面で違っていました。時には味や品質が悪質なビールもあり、それらを取り締まるためにドイツでは町ごとにビールに関する法律が作られていましたが、1516年4月23日にバイエルン州インゴルシュタットで当時のバイエルン公爵ヴィルヘルム4世により、現在の「ビール純粋令」と呼ばれる法律が制定されました。
これはビールの価格や材料などについて定めたもので、よく知られている部分としては、「ビールには大麦、ホップ、水以外の材料を使ってはならない」というものです。
ビールにホップを入れるようになるまでは、グルートビールなど様々なハーブを使ったビールが一般的でした。後にホップはビールの日持ちをよくすることが分かり(12世紀のドイツの修道女ヒルデガルト・フォン・ビンゲンがその効能について書き遺しています)、ホップの使用が増えていきました。ビールを長持ちさせて遠くまで運ぶことができるようになったのは、この発見によるところが大きいのです。
また、使用する麦を大麦に定めたのは、小麦はパンの原料として確保しておく必要があったためです(当時小麦ビールの醸造権は公爵家のみが保有し、政治的に利用されていました)。
現在ではもちろん小麦麦芽の使用は認められています。おいしいヴァイスビア(ヴァイツェンビア)は、バイエルン名物の一つですね。
みんなで純粋令500周年を祝おう!
長い歴史の中で紆余曲折がありつつも、ドイツではこの法律が現在にまで伝えられ、各醸造所では4つの原材料を守りつつ、それぞれの味を生み出してきました。
現在ドイツでは純粋令を巡って、様々な意見が交わされています。時代の流れによって、この法律の内容の意義が問われてきてもいます。ただ、ドイツではゲルマン人の時代からビールが飲み継がれ、500年も前からこのビールの品質を守る法律が存在していたことから、ビールがドイツ人にとってなくてはならない飲み物であり、その伝統と歴史は価値のあるものといえるでしょう。
本国ドイツでは今年様々な記念イベントが予定されていますが、日本でもこれを機会に改めてドイツビールの良さを知ってほしいと、いろいろなイベントが予定されています。
4月8日~24日
ビール純粋令500周年ビアラリー
https://www.facebook.com/events/989637127770073/
4月23日(ドイツビールの日)
ビール純粋令500周年パーティ
ビール純粋令とは?純粋令を取り巻く最近のドイツの状況
詳細はいずれもhttp://beerweek.jp/2016/
おすすめのドイツビール
バイエルンで1617年創業、純粋令を守りながら代々ビールを造る「プランク醸造所」。2006年と2012年にWorld Beer CupにてSmall Brewing Company部門で優勝、ビールは金・銀・銅合わせて12の受賞歴を持つ実力派ブルワリーです。
醸造所の現在の当主、第16代目ミヒャエル・プランクさんは純粋令に誇りを持ち、バイエルンのビール醸造文化を大切にしています。
このヘーフェヴァイツェンは、World Beer Cupにて3度も金・銀を受賞歴のある、世界が認めるビールです。
※掲載情報は 2016/04/26 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ドイツ食品普及協会 代表
森本智子
ドイツ在住11年、日本帰国後はドイツ農産物振興会日本事務所にマーケティングマネージャーとして勤務。2010年同団体の解体を機に独立、株式会社エルフェンを立ち上げドイツ食品・飲料の輸入・販売サポート、展示会の出展サポート・コーディネート、ドイツの展示会、会社訪問のガイド・コーディネート、ドイツ食文化セミナーの開催、ドイツの食の情報発信に関わる活動を行っています。
株式会社エルフェン:http://elfen.jp/
一般向けのイベントではドイツ大使館主催「ドイツフェスティバル」の立ち上げ、運営メンバー。
日本ではただひとり、ドイツ ドゥーメンス・アカデミー認定ディプロム・ビアソムリエの資格を持つ。
なかなか日本では知られていないドイツのおいしい物をご紹介していきたいと思っています。
著作:フォトエッセイとイラストで楽しむ ちいさなカタコト*ドイツ語ノート 国際語学社
ドイツパン大全 誠文堂新光社
http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=5380