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白いダイヤモンド!宝達葛のロールケーキ!
世界農業遺産に認定されている石川県宝達志水町にある宝達山。
加賀藩の御用金山として栄えた宝の山には、金以外にもう一つの宝物がありました。それは、「葛の根」です。
宝達山のシンボルともいえる「宝達葛」を使ったスイーツが誕生しました。
白いロールケーキの断面をよ〜くご覧ください。
いちばん外側がスポンジですね。卵黄の色をおさえた卵を使用して白さを際立たせています。その内側にもう一層の白い輪、これが宝達葛のミルク葛なのです。半透明な葛に牛乳をまぜてしっとりまろやかにしあげた葛の食感!もっちりぷるぷる弾力〜。
あの〜、ところでそもそも「葛」ってどういうものですか?
はい。わたしも知りたくて宝達山の麓へ行ってきました。
写真(左)が葛の根っこです。マメ科の植物ですが、ここまで成長するには20〜30年かかる希少なものです。これを昔ながらの機械で粉砕して(右)繊維にしていきます。
葛の繊維をきれいに水洗いしてから布で漉して、でんぷん質をとりだします。
この葛のでんぷんを含んだ水を一晩おくと、でんぷん質だけが底に沈殿します。上澄みの水を捨てて、またきれいな水で洗っては一晩寝かせて沈殿させる作業をなんと6回ほど繰り返すと、はじめは茶色だった水が驚くほど真っ白になるのです。
このとき、不純物の少ない「寒の水」でないといけないため、寒の入りの1月から2月にしか行えません。重い容器を手で傾けて水を換える厳しい作業です。
水分をとばした葛がまだしっとりとやわらかい段階で、取り出します。お豆腐のように見えますが、もっとしっかり固い状態です。
最後にこれを手で割っていくと、不思議なことに1cmほどの厚みの葛のかけらができあがります。ここから2ヶ月間、自然乾燥をしてようやく完成というのですから気の遠くなる作業です。
極寒の能登の手仕事から生まれるこの美しい宝物は、別名「白いダイヤモンド」と呼ばれ、地域でも高級品として珍重されています。
大正時代には70軒の家で葛が精製され、真冬にあたりの用水路が茶色くなると、「宝達でくず作りが始まった」といわれる宝達山麓の風物詩でした。
明治時代には、当時、皇太子だった大正天皇に「宝達くず」を献上した史実も残っています。
現在、生産者は4人になりましたが、この伝統製法を受け継いでいます。地域の宝物とされる「宝達葛」ですが、実はこの4人のみなさんこそ、町の宝なんですねぇ〜。
能登名産(検定合格之証)能州「宝達葛」。パッケージも歴史を感じさせます。
1kgの葛根からできあがる葛粉はおよそ100g。500gで5600円は高いか?適正か?
誇るべき町の宝を気軽に食べてもらいたいと、このほど宝達志水町と地元菓子店松月堂さんと石川テレビの共同開発で「宝達葛」スイーツが誕生しました。
上の焼き印は「石川さん」という局のイメージキャラクター。金山にあやかって金箔もほんの気持ちあしらっています。
白いスポンジとミルク葛の真ん中は生クリームで、同じく町の特産品・幻のぶどうと名高い「ルビーロマン」のリキュールを使ったゼリーです。一口いただくとぶどうの気品ある香りが漂います〜。他にもホワイトチョコやシリアルもちりばめて、食感もお宝ザックザクスイーツです。
世界農業遺産に認定されている石川県宝達志水町で生まれた宝達山のお宝スイーツ。その名は〜〜〜「宝達ロールくーずぇ」。
宝達くーずを使ったろーるくぇーきだから、ロールくーずぇ!
ふしぎなもっちりぷるんぷるんがしあわせ食感です〜!
宝達葛450年の歴史に思いを馳せてみてく〜ずぇ。
※掲載情報は 2016/04/05 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ベジアナ・農業ジャーナリスト
小谷あゆみ
※東京世田谷のベランダ菜園で野菜をつくるアナウンサー・ベジアナです。
もしも日本中のベランダでみんなが1つでも野菜をつくったら、暮らしが楽しく豊かになるに違いありません。
レストランの有名シェフをリスペクトするように、全国にあるおいしい農畜産物とそれを生み出す生産者や農業そのものがリスペクトされる社会をめざして活動中。
「1億総プチ農家プロジェクト」を掲げて、小さな感動を発信しています。
おいしいものを食べる人も、つくる人も笑顔に。
農のある暮らし、都会のあなたのベランダからはじめてみませんか?
NHKEテレ「ハートネットTV 介護百人一首」出演中
NHKEテレ「楽らくワンポイント介護」毎週(土)出演中
・農林水産省/ 食料農業農村政策審議会・畜産部会および医福食農連携プロジェクト選定委員