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夏の郡上八幡で教わったきり漬は“冬の食べ物”だった
郡上八幡のおみやげのお話は実はもう一つありまして、ただ、土地にゆかりのある人は「むしろ冬の食べ物」という風に教えてくれたので、まさに寒中の今回ご紹介します。それは飛騨地方一帯で食べられている、この「きり漬」です。土地の人は自宅で漬けるのでしょうけれど、道の駅の売場に並んでいるのを見つけて買って来ました。白菜を切って漬けるから切り漬けと呼ぶようですが、この製品には他に赤カブと青菜も入っています。おそらくその家その家に自慢のきり漬があるのでしょう。でも、食べ方と、これを食べたときを懐かしく思い出す気持ちは、どの方にも共通しているようです。その醍醐味は2つあって、どちらも温度が決め手になっています。
凍ったきり漬と焼いたきり漬それぞれの醍醐味
飛騨高地の冬の寒い日、漬け込んだきり漬を取り出そうとすると、それは凍っているそうです。それ、北海道生まれの私もわかります。冬に雪まみれの物置に入ってニシン漬の樽を開けるとシャバシャバに凍っているんです。そうなっているのを器に盛って、ところどころ薄い氷があるのをそのまま食べるというのは、独特の食感があっておいしいものです。しかし、この地方の人の知恵はもっとすごい。やっぱり温かいものが食べたいよねということで、きり漬を“焼ききり漬”にする由。フライパンで炒めて、溶き卵を加えて仕上げる。やってみると温かくほっこりとした食感になり、でも白菜らしい歯ごたえもあって、なかなかおいしい野菜料理になりました。
※掲載情報は 2016/01/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
FoodWatchJapan 編集長
齋藤訓之
北海道函館市生まれ。1988年中央大学文学部卒業。レストランビジネスを志していたはずが、レストランビジネスに役立つ本を作る仕事にのめり込む。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、日経BPコンサルティングのブランド評価プロジェクト「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、農業技術通信社「農業経営者」副編集長等を経て、フリーランスのライター・編集者として独立。2010年10月株式会社香雪社を設立し、農業・食品・外食にたずさわるプロ向けの情報サイト「Food Watch Japan」をスタート。著書に「入門 日本の七十二侯と旬の食」(洋泉社)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、「創発する営業」(共著、丸善出版)、「創発するマーケティング」(共著、日経BPコンサルティング)など。