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クリスマスのために造られたビンテージビール
早いもので2015年も残りわずか。街はすっかりクリスマスムードですね。今回から2週にわたり、クリスマスパーティにピッタリなベルギービールをご紹介します。まずご紹介したいのは「シメイ ブルー」。ベルギーのシメイという街にある、トラピスト会スクールモン修道院で醸造される「トラピストビール」です。実は私が初めて飲んだのは90年代前半で、海外産ビールとしては早い段階から家庭で楽しむことができました。輸入品を多く扱うスーパーや酒販店などで見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。
日本に輸入されているシメイには3種類のラインアップがあります。シメイブランドのスタンダードであるブラウンビール「シメイ ルージュ(通称シメイ レッド)」、ホップの量を他の3、4倍多く使っている「シメイ トリプル(通称シメイ ホワイト)」、そして今回紹介する「シメイ ブルー」。共通しているのはコルクでボトルに栓がほどこされていること。樽詰め時に酵母と少量の砂糖を入れることで、瓶内で二次発酵させているビールだからです。これにより、ビールでありながらも60ヶ月という長期保存・熟成が可能になっています。しかもシメイ ブルーはラインアップの中で一番熟成期間が長く、ラベルにはヴィンテージ(醸造年)が入っています。まるでシャンパーニュのようですね。
ラインアップの中でもプレミアムな存在のシメイ ブルーは、1948年に「シメイ スペシャル ノエル」の名でクリスマスビールとして造られたものでした。その味わいが人気を呼び、通年商品となったのが1956年から。そんな理由もあり、クリスマスにはピッタリの逸品なのです。
ぜひ専用のオリジナルグラスで!
深いルビー色の液体をグラスに注ぐと、細やかで豊かな泡が満ちあふれるとともに、ドライフルーツのような甘い香りが漂ってきます。私の経験から、この時点で「え、これ本当にビールなの?」と驚く方々多数。
シメイ ブルーを注いだグラスに顔を近づけてみると、シトラスのような花の香り、干したブドウやアンズを思わせるフルーティな香りで満たされます。口に含めばふくよかでコクのある甘味と共にフルーティな香り、若干のスパイシーさ、後に残るじんわりした苦味。飲んだ後には爽やかな印象さえ残してくれます。アルコール度数は9%と高めにもかかわらず、「ゆっくり、しかしスイスイ飲んでしまう」ちょっと危険なビールです。
ところでベルギービールには、醸造所ごとにオリジナルグラスがあるのをご存知ですか? もちろん、シメイも用意しています! 特にその豊かな香りや味わいを堪能できるよう、「聖杯型」と呼ばれる形になっているのです。アロマを最大限に楽しめるような工夫を凝らしたグラスを用意するなんて、まさにワインの楽しみ方と同じ。ぜひ専用グラスで味わっていただきたいものです。
パーティならではの愉しみ、「マグナムボトル」
「シメイ ブルー」をクリスマスパーティで楽しんでほしいとお勧めする理由がもうひとつ。それは、1.5Lのマグナムボトル「シメイ グランド レザーブ マグナム」があるから!(写真。ちなみに、750mlの『シメイ グランドレザーブ』、3Lの『シメイ グランドレザーブ ジェロボアム』も存在します)
マグナムボトルを空けてみんなで味わえるのは、家庭ではなかなかできないパーティだけの醍醐味。やはりシャンパーニュと同じように大瓶の方が長期熟成に向くためコンディションが良いと言われており、さらにヴィンテージものは異なる製造年の飲み比べができるのもパーティ向きでしょう。
シメイ ブルーはドライフルーツやナッツと合せやすいのですが、個人的にはゴルゴンゾーラやロックフォールのような、クセの強いチーズと合わせるのが大好きです。実はシメイには、シメイビールでウォッシュした「シメイ ア ラ ビエール」というチーズもあるんですよ。こちらのお話はまた別の機会に……。
それではちょっと気が早いですが、皆様よいクリスマスを!
■シメイ ブルー(330ml)
原産国:ベルギー
原材料:大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ、糖類、酵母
アルコール度数:9%
*ビアスタイル:トラピストビール
※掲載情報は 2015/11/23 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト
野田幾子
ビアジャーナリスト/ビアアンバサダー
ビアコーディネーター
日本ビアジャーナリスト協会副会長
1994年にベルギービール、1996年に国産地ビールの美味しさに目ざめ、周りにクラフトビールの普及活動を開始。2007年にビアバー・ビアパブムック『極上のビールを飲もう!』(エンターブレイン刊)の全体構成、執筆、編集を担う。その後ほぼ毎年シリーズを刊行、2014年4月、6冊目「ビールのある日常をより楽しく」を提案するムック『ビアびより』(KADOKAWA・エンターブレイン刊)刊行、編集長。現在、ビール専門誌『ビール王国』に寄稿、編集担当。
クラフトビール入門者向けの講座を開催。
ビールと料理の組み合わせのスペシャリストであるビアコーディネーター(クラフトビアアソシエーション認定)。
2000年よりライター/エディターとして独立。株式会社コラボトリエ代表。
2010年、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)設立。同副会長。