無添加 銀杏だれ
有限会社かっこう花グループ
塩レモンや怪味ソースなど、調味料ブームが続いていますね。味にアクセントをつける脇役から主役にもなる調味料の魅力は無限大です。毎年、11月3日は「文化の日」の祝日ですが、「調味料の日」という記念日でもあることをご存じでしょうか。“11(いい)3(味覚)” ということで、日本の伝統調味料を見直し和食を再考するため、2009年に日本野菜ソムリエ協会が制定した記念日なのです。
年に一度、調味料の日に開催されているのが「調味料選手権」です。日本野菜ソムリエ協会が育成する調味料の専門家である“調味料マイスター”が、全国から集結した調味料を審査。さらに最終審査に進んだ調味料を一般来場客による投票で、最終的に各部門の最優秀調味料を選出するイベントです。
私も毎年、調味料マイスターとして審査に参加させていただいております。ごはんのおともにしたくなるような濃厚な味わいの調味料、料理のアクセントにもピッタリな調味料、素材そのものの味をしっかり感じられる調味料など、16品が揃いました。ここ数年はトレンドを意識したデザイン性のある調味料が多かったのですが、今年は名産物の柑橘や野菜、魚介類など、素材自体の味をいかした需要性の高いものが揃ったなぁ、というのが印象です。
今回の調味料選手権でも、この素材が調味料に?とびっくりしたのが「無添加 銀杏だれ」です。秋は樹木の葉の色景色が美しい季節ですが、まさか黄葉を楽しむあのイチョウの木から調味料が生まれるとは思いませんでした。岡山県高梁市の地域おこし協力隊によって、今年3月に誕生したばかりの銀杏だれは、商品名の通りイチョウの実の中にあるギンナンを使用したタレです。
ギンナンって、臭いが強いというイメージがありますよね。あの独特な香りは普段食べている種ではなく、主に果肉から放出されるものなのですよ。とはいえ、最初は「どうなの?」と不安になりましたが、醤油ベースのタレにすごく合います。うま味の後にギンナンのふんわりとした苦味と風味が広がってとってもクセになるのです。焼き肉や野菜炒めなどに合いそう。ギンナンや醤油、酒など、材料のほとんどが、高梁市内の原料を使っているとのことです。
今回ご紹介した銀杏だれは、調味料選手権3部門のひとつである「ザ・JAPAN~伝統調味料~部門」で、最優秀賞を受賞されました。生産者代表としてあいさつされた長野エドウィンタケルさんは、涙を浮かべながら受賞の喜びを体全体で表現されていました。この調味料を“地産他消”として、今後は国内だけではなく、ギンナンの聖地であるドイツをはじめ世界にも発信していかれるそうです。
各部門受賞調味料
【ごはんがすすむ!ごはんのおとも部門】
最優秀賞:気仙沼旨みホタテとコラーゲンのXO醤(株式会社石渡商店)
優秀賞:山わさび入り とろろ(まりも製薬株式会社)
【素材がよろこぶ調味料部門】
最優秀賞:気仙沼ホヤソース(気仙沼水産資源活用研究会)
優秀賞:干し椎茸の万能ソース(ヨネビシ醤油株式会社)
【ザ・JAPAN伝統調味料部門】
最優秀賞:無添加 銀杏だれ(有限会社かっこう花グループ)
優秀賞:へべすが香る七味とうがらし(宮崎県門川町熊野農園)
【審査員特別賞】
塩みかん(農業生産法人 株式会社ミヤモトオレンジガーデン)
葉にんにくのたれ ジェノベーゼ風イタリアンソース(株式会社アースエイド)
これから温かい鍋料理がいっそうおいしくなる季節なので、色々な調味料を試してみても楽しい食事になりそうですね。
有限会社かっこう花グループ
※掲載情報は 2015/11/13 時点のものとなります。
アジアンフードディレクター
伊能すみ子
アジアンフードディレクター/1級フードアナリスト 舞台制作や民放気象番組ディレクターを経て、食の世界へ。調理師専門学校で調理、食文化を学びながら、食の専門家であるフードアナリストとして活動を開始。メディアを中心に飲食情報の提案やアジア各国料理の執筆、講演、講師、レシピ制作などを行う。
「ASEAN食のコンシェルジュ」、「タイフードコンシェルジュ」、「カンボジア旅のリポーター」などの肩書を持ち、食と旅の提案も手がける。年に数回、アジア諸国を巡り、屋台料理から最新トレンドまで、現地体験を専門webサイトにて多数掲載。書籍『専門店が教える スパイスの基本』(PHP研究所)では、レシピを担当。日本にいながらも他のアジア諸国のおいしい料理を楽しめるような、環境作りを目指す。