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干した赤海老は旨味が凝縮されていい味が詰まっています。
大分県宇佐市長洲では昔から赤海老がたくさん採れていました。その赤海老を茹でて干して叩いて殻を落としたものがこの「かちえび」です。
この「かちえび」を作るところは「海老舎(えびしゃ)」と呼ばれていました。かつては多くの海老舎が軒をつらね、広い庭先にはたくさんの筵(むしろ)が並べられて、たくさんの海老が干されていました。干し上がった海老を、鍬のような形の木の棒でたたいて殻を落とします。それを唐蓑(とうみ)で、仕分けしていくのです。以前は、赤海老が採れる時期には、街中の水路が真っ赤になるほどたくさんのかちえびができていました。
長洲は瀬戸内式気候の乾燥しやすい気候を活かして、かちえびをはじめ、海苔や、干物などもよく作られていました。なかでも、天日干しのそうめんは有名です。その地元でできるそうめんは、かちえびを戻したり、茹でたりしたできただしに、甘めの淡口醤油味つけして細ねぎで食べるのが地元風です。
最近ではかちえびだしのそうめんだしも販売されていますが、滋味深いかちえびでとるだしは最高です。
酒のあてやおつまみとして食べられることも多いのですが、料理に活用したり、ごはんに炊きこんだりもして食べます。かちえびを炊きこんで作る「かちえびちらしずし」は地元の人気の郷土料理です。
※掲載情報は 2015/10/31 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードプロデュサー/調味料マイスター
神谷禎恵
台所だけの建物「生活工房とうがらし」(大分県宇佐市)を基点に、「食を伝えたい」をテーマにフードプロデューサーとして食の観点から地域や女性を支援したり、食のブランディングをおこなったり、地域の食文化を伝える活動を行っています。また、福岡と宇佐・大分県下を往復しながら、外から見る宇佐のよさ、大分の豊かさを伝えるメッセンジャーの役割を担っています。調味料マイスターとしての調味料講座や、コンサルティング、ブランディングなどの講演や講座などは年間100回を越え、中でも「ゆずごしょう」を伝えるワークショップは全国各地で人気です。
主宰するFacebookページの「ごはん大好き」「しいたけ大好き」「ゆずごしょう大好き」も多くのファンをもちます。