【第5回】クラフトビールに合うレシピ「フラーズESB」編

【第5回】クラフトビールに合うレシピ「フラーズESB」編

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食感も味わいも楽しく滋味深い、晩秋の集大成

木枯らし一号が吹き荒れ、徐々に冬の気配が忍び寄って参りました。今回はもっちりした食感と温かいあんに思わず笑みがこぼれる「里芋まんじゅうのあんかけ」と、「フラーズ ESB」をご紹介します。

 

里芋まんじゅうのあんかけは、東京・高田馬場にある「酒菜 おによめ」(以下、おによめ)のオリジナルレシピです。鶏の挽肉で作った餡を、マッシュした里芋とジャガイモでくるんで揚げたおまんじゅうに、薄口醤油を使ったちょっと甘味のあるあんをかけたもの。お出汁のいい香りにドキドキしながら、おまんじゅうを崩して一口パクリ。もちもちした食感に心地よさを覚えると同時に、鶏肉と出汁の旨味が口の中にふわりと広がりました。餡の食感も楽しく、じわっと里芋とジャガイモの甘味も感じられます。そこに加わる生姜の辛味と風味が全体の印象を引き締めてくれて。まさに「滋味」の塊、「晩秋の集大成」というべき料理でしょうか。率直に申し上げて、私のモロ好みでございます。

 

今回こちらに合わせたビールは、「フラーズ ESB」。ESBとは「エクストラ・スペシャル・ビター」の略で、麦芽を焦がしたカラメルのような香りと麦芽の甘味、後を引く苦味が特徴。「特上に苦いビール」という意味ではありますが、強い苦味が特徴の「IPA」ほどではありません。イギリスのフラー・スミス アンド ターナー社が生み出したスタイルで、1971年より発売されました。

ロンドンで「ESB」といったら「フラーズ」!

フラーズ ESBは、麦芽由来のカラメルやハチミツのような香りに加え、ホップが持つ柑橘系の香り。麦芽の甘味とホップの苦味のバランスがとれた液体は、ふくよかな味わいで飲み応えがあります。ロンドンでESBと言えば、このフラーズESBを指すくらいの代表的銘柄。ぜひ一度は味わってみていただきたい!

【第5回】クラフトビールに合うレシピ「フラーズESB」編

醸造元のフラー・スミス アンド ターナー社は1845年に創業した、ロンドンでは最古の家族経営ブルワリー。現在ではロンドン市内に約360店舗のパブを経営する会社でもあります。定番としてESBがあるのはもちろんのこと、同社のペールエール「ロンドン プライド」も多く見かけます。日本にも輸入されていますので、酒販店で見かけたらお手にとってみてください。

生姜がつなぐ味わいのご縁

さて、里芋まんじゅうのあんかけとフラーズESBを一緒にいただきます。まんじゅうの食感と鶏の旨味を楽しんだところに甘味と苦味を持つESBが加わると、ビールの苦味によって鶏の旨味がより印象を強めました。また、お肉の旨味とビールの甘味に、ホップの香りと苦味、生姜の風味がよく合う! 里芋まんじゅうそのものは塩気が強すぎることなく繊細な味わいなので、もしかしたらフラーズESBはちょっとどっしりしすぎるかな……と懸念していたのです。しかし、ビールを合わせることで餡の旨味は消えるどころかより存在感が増し、全体的に甘すぎたり苦すぎたりすることのない絶妙なバランスの構成になりました。

 

それにしてもこれまで数多くのペアリングを試し改めて感じたのですが、生姜はビールに合せやすいですね。今回は、出汁とフラーズESBが持つ甘味にマッチすることで、両者のつながりをより強めてくれた感があります。寒くなってくると、身体を温める生姜の出番が増えるはず。そして冬にはどっしりしたタイプのビールが美味しい季節なので、生姜を用いたお料理とのマッチングがより楽しめそうな予感がします。

【第5回】クラフトビールに合うレシピ「フラーズESB」編

<レシピ>
■里芋まんじゅうのあんかけ
*材料 <4個分>
<里芋まんじゅう>
里芋            3個
ジャガイモ         1個
塩        ひとつまみ

 

<挽肉餡>
鶏挽肉              120g
タマネギ            1/4個

塩               少々
醤油              小さじ2
片栗粉            適宜

 

<あんかけ>
出汁        2カップ
塩          少々
淡口醤油     大さじ1

シシトウ       4本
生姜(すりおろす)  適宜


1.  みじん切りにした玉ねぎと鶏のひき肉を炒めて塩、醤油で味を付け水溶き片栗で少し固めの餡を作り4等分にしておく

 

2.  ジャガイモと里芋をゆで皮を剥いて塩少々を加え、合わせてマッシュ状につぶしたら4等分にしておく


3.  マッシュした芋の中にひき肉の餡を包んで丸め、片栗粉をまぶして揚げる(注:きちんと芋で包まないと揚げた際中身が出てしまいます)

 

4.  かつおと昆布出汁に淡口醤油と塩で味を整え水溶き片栗粉であんかけを作る。

 

5. 油揚げを半分に切り袋状にして中にコロッケのたねを入れる(油揚げが破れないように注意)。

 

6.  器に揚げた芋まんじゅうとしし唐を盛りつけ、4のあんかけをかける。生姜のすりおろしをあしらって出来上がり。

 

■“おによめ”よりひと言
*里芋とジャガイモはよくマッシュしましょう!
*しし唐の素揚げは真ん中に少し切り込みを入れるか楊子で穴を数カ所開けて揚げないと爆発しますのでご注意ください。
*上にかけるあんかけはお好みで砂糖・みりんで少し甘みをつけても美味しいです。できたての熱々で温まってくださいね。

 

■フラーズESB
 原材料:麦芽、ホップ
 内容量:330ml
 アルコール度数:6%
 醸造所:フラー・スミス アンド ターナー社

 

■酒菜 おによめ
 住所:東京都新宿区高田馬場1-23-14-1F
 TEL:03-6228-0246
 営業時間:火~金 18:00~23:30 
 休日:土日月
 https://www.facebook.com/syusaioniyome

※掲載情報は 2015/10/31 時点のものとなります。

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キュレーター情報

野田幾子

ビアジャーナリスト

野田幾子

ビアジャーナリスト/ビアアンバサダー
ビアコーディネーター
日本ビアジャーナリスト協会副会長

1994年にベルギービール、1996年に国産地ビールの美味しさに目ざめ、周りにクラフトビールの普及活動を開始。2007年にビアバー・ビアパブムック『極上のビールを飲もう!』(エンターブレイン刊)の全体構成、執筆、編集を担う。その後ほぼ毎年シリーズを刊行、2014年4月、6冊目「ビールのある日常をより楽しく」を提案するムック『ビアびより』(KADOKAWA・エンターブレイン刊)刊行、編集長。現在、ビール専門誌『ビール王国』に寄稿、編集担当。

クラフトビール入門者向けの講座を開催。
ビールと料理の組み合わせのスペシャリストであるビアコーディネーター(クラフトビアアソシエーション認定)。

2000年よりライター/エディターとして独立。株式会社コラボトリエ代表。
2010年、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)設立。同副会長。

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