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ご主人自らが毎日!開店前に炊いて守る伝統の味
半夏生(はんげしょう)ご存知の方も多いと思いますが……、半夏生とは、雑節の一つで夏至から数えて11日目にあたる7月2日頃のことをいいます。農家にとっては大事な節目の日。この日までに田植えを終える目安とされ、また半夏生の天候で、その年の稲作の出来具合を占っていたようです。
そして関西ではその日、たこを食べる風習があります。田植えを終えたこの時期にたこを食べるのは「稲の根が、たこの足のように四方八方にしっかりと根付きますように」「稲穂がたこの足のように立派に実りますように」という願いが込められていたといわれています。
前置きが長くなりましたが、半夏生に食べるたこといえば真っ先に浮かぶのが、今回ご紹介する南たこ梅さんの名物「たこの甘露煮」です。おでんのお店として有名な本家であるたこ梅さんは、江戸時代末期の弘化元年(1844年)創業、分家として開業した南たこ梅さんも、創業以来170年の伝統の味をまもってらっしゃいます。
こちらの「たこの甘露煮」も、創業より受け継がれた秘伝のおだしで、瀬戸内海や和歌山沖で漁れた活たこを独自の炊き方で仕上げています。驚くほどの柔らかさと最初の甘味、そしてたこ独自の香りが口いっぱいに広がります。特製のからしをつけると、より一層旨みが広がり、お味にも変化が出ますのでお酒も進みボリュームあるたこもあっという間に食べてしまいます。
長年試行錯誤の上、作り上げられたというこの特製からしも100%和からしをベースに、水を使わず酢で溶き、たこ梅のおでんに合うように作られています。マイルドな刺激が格別で、ドラマの撮影で関西にいらしていたある女優さんは、このからしが大好きでたっぷりお酒と召し上がっていたというほど。こちらの特製からしファンは私含めて沢山いらっしゃるようです。
出逢えた方はラッキー!希少な珍味!
鉢いっぱいに盛られた小さな粒々、これは「たこの子」。一つ一つの粒がタコになるのかしら……と思うと面白いのですが、こちらは魚屋さんに立派なものが入荷した時のみにいただく事ができる特別なお品です。秘伝のだし汁で炊いた「たこの子」は、春先から夏場にかけて時々お店に出されるそうですので、お店に行かれた際には是非チェックしてみて下さい!
たこには、タウリンという疲労回復、肝機能の強化、血液洗浄作用など様々な効果があるとされている栄養素が豊富に含まれています。昔の人は、たこの効能をご存知だったのでしょうか? 蒸し暑さで疲れの溜まるこの時期に、美味しいたこの甘露煮で猛暑も元気に楽しめるよう体調を整えておきたいですね。
最後に、お店的には「天ぷら」と呼んでらっしゃる練り物ですが、お家でおでんとして煮るのは勿論のこと、今は季節的に暑いので、オーブントースターで焼いて柚子こしょうをのせていただくのが、美味しくてご飯が進みます。
※掲載情報は 2015/07/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
食空間プロデューサー
戸口明美
大学卒業後、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミーに学び、住宅・ホテル等インテリアの仕事に携わる。1999年にフラワー・カラー・インテリア・テーブルコーディネート、歳時記や季節のしつらいまで暮らしを彩る要素を総合的に学べる教室を芦屋に開校。
現在、東京教室ほか百貨店、インテリア関係のイベントやセミナーを展開し、和と洋の美しい文化を融合した暮らしをより豊かに愉しむライフスタイルを提案している。
一方では、ブランドショップのデザイン監修や桂由美ブライダルファッションショーの会場演出等を手掛け、色使いやスタイリッシュなコーディネートに定評を得ている。近年では、NYにて香道のセミナーとパーティーを開催し海外イベントやオリジナルウエディングのプロデュースにも力を入れている。2013年11月「LARIQUE」シンガポール新作発表のデコレーションと日本のおもてなしによるパーティ演出が高く評価される。